【句集を読む】
東京の夜空
半澤登喜恵『耳寄せて』の一句
西原天気
東京タワー炭火の如く北風の中 半澤登喜恵
昨今は東京タワーの照明に何種類かあるようだが、伝統的にはやはり炭火のような赤。
《北風》は「きた」と読ませて下五は五音。なのかもしれないが、「きたかぜのなか」でも韻律は損なわれない(と感じる)。
北風とあるが、仰角のせいだろう、夜空のありようが、《炭火》によって寒さが伝わる。
ほかに、《置けば満つ歯科のコップや法師蟬》《沖に空母泡立草の中にゐて》が、それぞれ俯角の視線、水平の視線を詠んで、興趣。
半澤登喜恵句集『耳寄せて』2022年5月30日/金雀枝舎
0 件のコメント:
コメントを投稿