2024-01-14

湯あがりのさっぱり感 井出野浩貴『孤島』の一句 西原天気【句集を読む】

【句集を読む】
湯あがりのさっぱり感
井出野浩貴孤島』の一句

西原天気


新涼や日のあるうちの湯屋帰り  井出野浩貴

夏ならまだ暑く清涼感がない。冬だと、日のあるうちに湯屋を出てくるには無理がある(私が銭湯をよく使っていた頃は16時に開いていた)。

新涼の季節がちょうどいい。

まだ明るい時間に風呂を済ませるのは、存外気持ちがいい。いつもはまだ働くなどしていて、できない。それができる爽快。まだ身体がきれいさっぱりした爽快。

句の気持ちよさを、季語が過不足なく支えている。

この句集には、ほかにもこんな句。

銭湯の故障のままの扇風機  同

井出野浩貴『孤島』2023年5月/朔出版

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