【句集を読む】
バケツと交番
森尾ようこ『惑星』の一句
西原天気
ぽりばけつぽりぼつくすに日脚伸ぶ 森尾ようこ
ポリバケツの「ポリ」てなんだろうとふと思い(素材の名称の略というのはなんとなくわかていたが、ポリなんとかというモノはいくつも種類がありそうだから、いちおう調べてみると(例によって安易に検索)、AI氏がていねいに教えてくれた。
なるほど、ポリエチレンとポリプロピレン、どちらのバケツもあるとのことで、「ポリ」が接頭語の「poly」でたくさんとか複数を表すことは私もぎりぎり知っている。ほら、モノフォニー(単声)とポリフォニー(多声)のポリでしょ? エチレンとかプロピレンは浅学につき知るを得ず。興味のある人、知っているは、調べるか教えてくれるかしてください。
で、無駄話ばかりしていてもしかたがないので(とはいえ、俳句なんて無駄のかたまりなわけですが、それは置くとして、この句。
ポリポックスの「ポリ」が、素材だとは思わない。ポリスです。ボックスは交番です。ポリスボックスはカタカナ語かと思っていましたが、れっきとした英語らしい(police box)。それもまたさておき、同じ「ポリ」なのですが、ポリバケツとポリボックスを並べて考えることは、意外に多くない。
それぞれ5音と7音というアドバンテージはあるにせよ、この併置は俳人/作者の手柄と言ってさいしつかえないでしょう。
おまけに。
私のアタマのなかには、交番の脇に置かれた青いポリバケツも見えました。
日がだんだんと長くなる季節、これはとてもほっとする景色です。
森尾ようこ句集『惑星』2025年7月・コールサック社
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