後記
子供のころ『日本沈没』がベストセラーになって、映画化(1973)されたものを、友だちと見に行きました。噴火や地震で多くの人が死んでしまうパニック映画ですが、なんとか移民船に乗れた人は、世界へ散っていくわけです。
生き延びられてよかったけど、行った先で苦労をするんだろうな、自分だったら、日本を離れてどうやって生きていこう……と、子供心に植えつけられた、いらない心配は、いまだに、ふとしたきっかけで疼きだすことがあります。お金を貯めて、マンガ喫茶をやるのはどうだろう、とか。
今週号の「世界俳句協会大会日記」は、ラトヴィアやリトアニアといった小国をふくむ、世界各国の俳句作家が来日した日々の記録です。それを読んで、ふと、自分はどこかへ移民に行ったら、行った先で俳句を、しかもその国の言葉で書こうとするかもしれない、と思いました。
いらない心配に、ディテールが加わってしまいました。
それでは、また、次の日曜日にお会いしましょう。
(上田信治 記)
no.022/2007-9-23 profile
■藤田哲史 ふじた・さとし
1987年生まれ。「澤」「東大俳句会」所属。
■榮 猿丸 さかえ・さるまる
1968年東京生まれ。さいたま市在住。「澤」同人、編集委員。2004年澤新人賞。
■小野裕三 おの・ゆうぞう
1968年、大分県生まれ。神奈川県在住。「海程」所属、「豆の木」同人。第22回(2002年度)現代俳句協会評論賞、現代俳句協会新人賞佳作、新潮新人賞(評論部門)最終候補など。句集に『メキシコ料理店』(角川書店)、共著に『現代の俳人101』(金子兜太編・新書館)。
サイト「ono-deluxe」http://www.kanshin.com/user/42087
■長谷川 裕 はせがわ・ゆたか
1950年東京生まれ。「百句会」世話人。句集に『彼等』(西田書店2003年)。
■雪我狂流 ゆきが・ふる
1948年、日本に生まれる。1964年、ビートルズに狂う。1967年、ゴダールの「気狂いピエロ」に狂う。1977年、パンクロックに狂う。1991年、俳句に出会う。句集に『御陰様』『弁慶の泣き所』(いずれも私家版)。
■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。「ハイクマシーン」「里」「豆の木」で俳句活動。
ブログ「胃のかたち」 http://uedas.blog38.fc2.com/
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2007-09-23
後記+プロフィール 022
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