俳句ゲリラ・民也氏のこと ……さいばら天気
いつの頃からだろう? 本誌「後記+出演者プロフィール」のコメント欄に俳句が書き込まれるようになったのは。
名義は「民也」。民也君と呼んでいいのか、民也さんと呼んでいいのか、よくわからずにいるのは、この人がどんな人なのか、まるで見えないからだ。
もちろん、インターネットでは、年齢などはわからない。まるで少女漫画のようにかわいらしいハンドルネームの女性が、現実世界では孫が何人もいたりもする。ときには性別さえもわからない。とはいえ、書き込みの内容などから、うっすら人物像が見えたりもするものだ。
ところが民也氏の場合、それがまったく見えてこない。十代の学生さんのようでもあり、初老の男性のようでもある。謎だ。
ああそうかこれが棺桶涼新た 民也(以下同)
原爆忌痛くなさそな紐選ぶ
腰と胸つながっている水着かな
腰と胸遠く離れし水着かな
ゴング鳴るまでの屈伸 羽抜鶏?
父さんと修理に走る春の雨
竜天に登る銭湯入れずに
以上、天気が勝手に選。
「俳句はゲリラだ!」と銘打って書き込まれる俳句はお世辞にも巧いとも面白いとも言えない。
いや、そんなことより…
「なんで俳句?」
…ということだ。多くの人がそう思うはず。
ブログでもBBS(掲示板)でも、書き込みというのは、現実世界のマナーのようなものが踏襲される。コミュニケーションという脈絡が無視されることはなく、いわば会話やメッセージの様相となる。
ところが、民也氏は、どうだ? 「ゲリラだ!」との宣言のとおり、コミュニケーションもクソもなく、一週間に一度、俳句を書き込んで去っていく。
本誌の読者から、「削除したら、どうか?」という意見も、私のもとに届いた。挨拶もなく、自分勝手なことを書き込むだけなのだから、削除すべきだ、という意見である。
それもわかる。ネットには、やはり流れや脈絡がある。民也氏は、そうしたものを無視する。はっきりいえば…
ヘンな人
…なのだ。
だが、私は、この「週刊俳句」を切り盛りするうえで、削除という手段はとらなかった。
俳句関係のサイトで、すぐに削除という手段をとるところも多いと聞く。「削除」という排除の方法は簡単である。批判的な書き込みが削除されたり、空気を読めない(嫌な言葉が流行る)書き込みが削除されたり…(大笑。
「週刊俳句」は基本的に、コメントを削除しない。これからも、削除しない。もちろん、不適切な書き込みがあった場合は、即刻削除する。たとえば個人情報を晒したり、商売目的だったり(アダルトサイト等)、そんな書き込みは削除する。
民也氏は、ゲリラである。だが、上記のようなルール違反はない。ゲリラというだけで、排除されるべきではない。
俳句世間に、ゲリラがいても、いい、と思う。
町内会長やサラリーマンや主婦や学生や退職老人やガッコのセンセや、そんな人たちばかりでつくりあげる「俳句村」は、退屈である。
ゲリラくらい、いたっていいのだ。ゲリラだけではない。例えば与太者や街娼やルンペンもいる、そんな俳句世間のほうが、だんぜん面白い。
今週号の「後記」の記事のコメント欄にも、民也氏は現れるのだろうか? きっと現れると思う。ゲリラとして、「空気を読まず」、勝手に俳句を書き込んで、そして速やかに撤収していくのだろう。
なお、この記事を書くのに、民也氏に打診その他のメッセージは送っていない。勝手に記事にした。連絡をとろうと思えば、とれたかもしれない。だが、相手は、ゲリラである。そんなことをしても無駄だ。ゲリラへの敬意の意味から、こちらも、相手などおかまいなしに勝手にネタにさせてもらった。
最後に、読者の皆さんへ。良い子はマネしちゃダメよ。
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2007-09-16
俳句ゲリラ・民也氏のこと さいばら天気
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2 comments:
民也の句を見たら、自分のほうがいい俳句を作れる、と、誰もが安心するのではないですか。
民也さん、こんばんは。
他人の句と比較して、どーのこーの、なんて、つまらないことです。
「面白いとも言えない」と書きましたが、選ばせていただいた7句、なかなかのもの、かも。
これからもゲリラのまま、俳句を楽しんでください。
この「週刊俳句」以外にも、ゲリラ活動の場所はたくさんありそうです。
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