〔俳句つながり〕 雪我狂流→村田篠
幸せのハードル ……雪我狂流
※「追伸」以外の部分の初出:『百句会報』第100號(2006年9月16日)
re: さくら友蔵を読む(三島ゆかり)
ボクの日曜日のお楽しみはテレビアニメの「ちびまる子ちゃん」を見ることです。幸せがいっぱいのまる子ちゃんに元気をもらっています。
なぜ、まる子ちゃんはいつも幸せなのでしょうか。それは、幸せのハードルが低いからです。あまりにも低いので感動すらしてしまうのです。
たとえば、お味噌汁に入っていた半熟玉子のトロリとしたおいしさに一日中感動したり、アイスクリームを半分残して、冷蔵庫に戻して、しかも忘れたフリをして「あっ、アイスがある!」と驚いて、おいしさを何度も楽しむのです。ちびまる子ちゃんは、しあわせの天才なのです。
万緑の離れてみれば大きな木 篠
「でかしのちゃん」の俳句は僕を幸せにしてくれます。もちろん小さな幸せです。俳句という小さな器には小さな幸せがお似合いです。自分が大きくなる快楽があります。自分が小さくなる幸せがあります。万緑と見間違うほどの大きな木の存在と私、大きな物に包まれる安心感、そして幸福感、そして素直な気持ちになります。それはこの句が素直な句だからなのです。
凡人は「凡句」を作るべきです。無理をしたり、言い過ぎたり、表現し過ぎたりすると、自分を追い詰めます。上げ底なしの「凡句」は、アッパレな「凡句」です。この句は。もちろんアッパレな「凡句」なのです。そういえば、まる子ちゃんのおじいさんの友蔵さんも俳句を作っています。
友蔵心の俳句
年老いて孫のフケさえ美しきかな
孫よりもうまくできないわが俳句
火事を見てわが心にも火の用心
草むしりいいことなんてたぶんない
五郎さん8月3日になぜ死んだ
なぜなのかわからずじまいのバレンタイン
しのちゃんの俳句は友蔵さんの俳句にくらべればまだまだ、ガンバレしのちゃん。
追伸
もう随分と篠さんと句会をしていませんね、さびしいです、でも、ひさしぶりに、この『週刊俳句』であなたの俳句を見ました。
棘のある草のまはりの梅雨晴間 篠
電球の揺れをり耳の涼しかり
永遠に小学三年生の「ちびまるこちゃん」と違って篠ちゃんは歳をとります、十分に歳をとってます、すっかり大人です、人生は幸せばかりでないことを知ってます、幸せばかりが人生の喜びでないと知ってます。生きていることの不安、女であることの不安、大人の女性になった篠さんを、この俳句から感じることができました。新しい篠さんの俳句を楽しみにしてます。お体気をつけてください。
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2007-09-23
幸せのハードル 雪我狂流
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