スズキさん
第2回 皇室・相撲・二天門 中嶋憲武
スズキさんの配達に同行。
仲見世の人形焼屋さんへ、人形焼を入れる箱を30箱ほど。
この箱にサイズがいろいろあって、六八とか四五六とか五七五と呼ばれけり。店の人に「四五六ふたつ下さい」と言われても、どれがどのサイズなのか分からず、スズキさんに聞きけり。
多分恐らくperhapsメイビー、箱のたて×よこ×高さの記号なのだろうと思うが、どうだろうかとスズキさんに尋ねてみるが、スズキさんも分からなかった。謎だ。謎の多い人生だ。
配達が終って、修理中の二天門の先で不意にスズキさんが停車するので、恋でも告白するのかと思っていると、「ちょっと、カレンダー買ってくる」と言いけり。
車を出てったスズキさんは、ちょこちょこっと走り、みやげもの屋の軒先へ消えた。その間、ぼくはつけっぱなしのTBSラジオの毒蝮三太夫の声を聞いていた。浅草って、毒蝮三太夫とか、大木凡人の声が似合う街だな。
スズキさんは、カレンダーを四五本抱え戻りけり。
そんなにたくさん、カレンダーをどうするのですかと聞くと、スズキさんは、田舎に送るのだと答える。何のカレンダーを買ってきたのかと聞くと、皇室と相撲のカレンダーを買ってきたのだとか。へえ、皇室と相撲ですかと感心していると、見せてあげようかと言うので、一も二もなく見せてくださいと答える。
一月は、天皇御一家勢揃いの図で、例の写真です。あとは天皇皇后両陛下がお田植えをされている写真、秋の野を散策されている天皇皇后両陛下の写真。げに恐ろしき日本のステレオタイプの図版世界がそこには網羅されていたのです。ねっ、いいでしょとスズキさんは、カレンダーをしまいながら言うので、ぼくもいいですねと答えると、スズキさんはにこにこと、田舎にね、送ると喜ばれるんだよね~と言いけり。
田舎、どこですかと聞くと、秋田なのだとか。秋田というと、勉強もう秋田県とか、比内鶏とか、きりたんぽとか、ナマハゲとかそれくらいの知識しか持ち合わせぬぼくは、秋田ですかとしかレスポンス出来ず、そろそろお昼だなと考えていた。とにかくスズキさんの話によると、田舎では皇室・相撲のカレンダーを貼っておけば、鼻高々なのだとか。
昼はスズキさんと仕出しの弁当を、NHKテレビジョンを見ながら食べて、食べ終わってからも、連続ドラマ「ちりとてちん」まで見てしまい、つづきが気になるな~と思いながら、午後の仕事に立つ。それにしても、チームちりとてちんはどうしたのだろう?
■■■
2007-12-02
スズキさん 第2回 皇室・相撲・二天門 中嶋憲武
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿