2007-12-09

第33号 2007-12-9 10句作品 テキスト

 胸のかたち   太田うさぎ


セーターを一人は脱げり美術室

蛾の如き痣がひとつや冬籠

手袋のほしくなりたる散歩かな

花ひひらぎ先に二階の灯りけり

煤逃げの少女はフラフープの中よ

のけぞるや聖樹まるまる写さむと

ふりむけばメロンパン的冬霞

暖房機しくしくふうと止まりたる

冬蜂の影が大きいずる休み

鴨つぎつぎ胸のかたちを整へり




 冬の日    冨田拓也


冬眠や日月星辰巡らせつ

烈日の剥片として白鳥来

一千年前の詩を読む霜夜かな

人は火を怖れざりけり枯野原

寒月や鎧は函に納まりぬ

わが言葉何処(いづく)にあらむ龍の玉

隼や日の矢の中をさかしまに

綿虫か日波の中に蕩(つたよ)ふは

木の中のやはらかき虫雪降れり

いつかこの言葉も消えて夜の雪

2 コメント:

匿名 さんのコメント...

花ひひらぎ先に二階の灯りけり

暖房機しくしくふうと止まりたる

冬蜂の影が大きいずる休み

個性があるのに、力の抜けたいい句だと思いました。とりわけこの3句はすばらしいと思いました。

さんのコメント...

時々お邪魔している桜と申します。10句作品、「冬の日」興味深く拝見致しました。

 冬眠や日月星辰巡らせつ

 烈日の剥片として白鳥来

 寒月や鎧は函に納まりぬ

 隼や日の矢の中をさかしまに

 木の中のやはらかき虫雪降れり

など、此処と其処を劃すことで生まれる何らかの、消えやすい趣のようなものを詠まんとして、しかもそのまぼろしに吹き付けている感性の色合いが美しいと思いました。さらに言わせていただけるなら、それほどの詩情を載せながら、一句一句が見事な写生句であるということに驚きを禁じ得ません。