現代俳句協会新人賞・落選作
あをあをと 太田うさぎ
餅つきの柱の陰にゐる子かな
雲を吹くごとし七草粥吹くは
映画論煮凝りに箸沈めつつ
マフラーを巻いて倒せし醤油差
くつさめの尾のすべからく詫びことば
豆撒きの電灯消してまはる役
大いなる雛壇のあるロビーかな
料峭やもとより暗き橋の下
ふらここの影の掠めるにはたづみ
黒牛の胴に乾びし春の土
別べつに去る拝礼の人と蜂
しやぼん玉遊びの一人ゐずなりぬ
惜春や貝に盛らるる貝の肉
蚕豆の莢を出たがる空気かな
ゆふどきも風あをあをと初鰹
菖蒲湯を出でてすとんと夜に馴染む
箱釣へ雨の最初のひと雫
ゆつくりと暗きに戻る錦鯉
フラダンス笑顔涼しく後退る
遠花火膝に子犬を眠らせて
出勤や夜濯ぎのもの畳まずに
どの雲も海へ出てゆく九月かな
秋の水笊を浮かべてゐたりけり
地に落ちて艶の加はる虚栗
木の実置く挿絵の広き青空に
心血を菊人形に注ぎけり
立ちざまに足の触れあふ十三夜
行く秋の水は捩れて水のなか
仲見世や指先の冷え持て余し
暦売りこよみの前に立ちてをり
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2008-12-07
あをあをと30句テキストデータ 太田うさぎ
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