年代別週刊俳句 2007年アンソロジー 44人44句
70代以上
野に穴を想へば月の欠けはじむ 柿本多映 第26号
出棺に真昼間使ふ烏瓜 岩淵喜代子 第26号
60代
メロンパン喰へば火葬の終りけり 山口東人 第14号
湖は平らなところボート浮く 雪我狂流 第7号
洗ひ髪ゆゑいきしちに火、と叫ぶ 佐山哲郎 第11号
50代
蟋蟀の体温ならば臍の緒ならば 大畑 等 第25号
夏の川ゴールデンタイムちらちらす こしのゆみこ 第8号
夏至の日のオペラグラスに嘆きの場 菊田一平 第10号
以下でマニフェストどす絵符に馬刀貝 宮崎二健 第11号
枯芒風がまるめてをりにけり 矢羽野智津子 第35号
風の百合あつといふまに蝶にかな 馬場龍吉 第8号
年金を確かめに行く夏帽子 媚庵 第10号
肉親は姿勢正しく水に浮く 樋口由紀子 第6号
満月は水夫の匂ひさせて歩く 振り子 第24号
金曜の悪はきっちり中華風 小池正博 第8号
襟巻や誤読のやうに夜が来て 笠井亞子 第34号
よく回る耳鼻科の椅子へてんと虫 三宅やよい 第7号
やくそくの木綿豆腐を持ったまま なかはられいこ 第16号
まだなにも叩いてゐない蠅叩 さいばら天気 第16号
羽の国の羽毛のやうな鱗雲 久保山敦子 第28号
遠く長い匙紫陽花が泣く音 井口吾郎 第10号
ラグタイムピアノ残菊炎上す 五十嵐秀彦 第25号
しぐるゝや川面近くに別の風 小池康生 第32号
大蚯蚓伸び切つてをり進まざる 寺澤一雄 第13号
天袋より引きずり下ろす聖樹かな 仲 寒蝉 第35号
冷房の効いてほのかに暗い部屋 村田 篠 第14号
波乗りの姿勢のままに呑まれけり 遠藤 治 第14号
大花火痩せた財布のようにいる 大石雄鬼 第16号
新米に隕石の粒混じりあり 谷口智行 第18号
マフラーや世界はかくもやはらかく 中原徳子 第35号
40代
貝殻を洗つてゆきし大夕立 金子 敦 第7号
金魚ゐて夜のつやつやしてゐたる 中嶋憲武 第16号
はつふゆや切り取り線をゆく鋏 加藤かな文 第31号
暖房機しくしくふうと止まりたる 太田うさぎ 第33号
水すべて撒いてしまひし撒水車 齋藤朝比古 第6号
冬日差す鏡に触るる赤ん坊 岡田由季 第17号
レモンシャーベット嘘つきの舌冷やす 津田このみ 第18号
噴水に釣瓶落としの音のこる 津川絵理子 第27号
30代
蚊のとほり抜けたるあとの背中かな 鴇田智哉 第11号
白百合の臓腑あらはに咲きにけり 田中亜美 第11号
白鳥定食いつまでも聲かがやくよ 田島健一 第32号
冬の日や額縁ばかり大きな絵 相子智恵 第34号
20代
木の中のやはらかき虫雪降れり 冨田拓也 第33号
国道に冬の匂ひのしてをりぬ 浜いぶき 第32号
●
0 comments:
コメントを投稿