2009-02-01

週俳新年詠を読む【2点句】

【2点句】

41 またもとの歩幅にもどる四日かな

非日常から日常へ変わりゆく時間は、非常に寂しいものである。楽しかった非日常は、また来年までおあずけだ。(大紫)

年越し、三が日は慌しくあっという間に過ぎ去ってしまう。四日からはようやく日常が戻ってくる。仕事始めの人もいるだろう。もとの歩幅にもどることがうれしいのか、悲しいのかこの句では分からない。そこがいい。(佐緒理)

→この句は、季語そのままではないだろうか?三が日が終わり、普段の生活に戻ることを「歩幅」という言葉で表現したにすぎない。


43 まづ初湯手足喜ばせてみるか

初湯への向かい方が軽快で面白い。身体への他人じみた認識は湯に入った時のアレだと思い出さされた。なんとも気持のよさそうな湯だ。(美加里)

手足はたいそう喜んだことだろう。正月を実感できるものはたくさんあるが、何よりも「まづ初湯」なのが良い。(大紫)

→「まづ初湯」という言い方は、なんとも新年らしいけれど、「まづ」と「初」が重なるのがどうしても気になる。「初湯」で手足を「喜ばせ」るというのも、なんというか、普通。


49 獅子舞のあとの塵浮く日差しかな

獅子舞の通る周りには人がわらわらとついてくる。前を通り過ぎたら満足して帰るものもいる。弛緩した拍子ぬけたようなやりきったような空気の中にキラキラとしたほこりと日差しがある。あの脱力のまた少しあとか。(美加里)

祭りのあとの静けさ。先ほどまでは注目されなかった塵が、今度は俺の出番だと言わんばかりに存在感をあらわにする。(大紫)

→この句は私も一番好きだった。しかし大紫氏の読みはひっかかる。塵の浮く日差し、その空間こそが、この句の面白さであって、「塵の存在感」を詠んだものではないのではないか。

0 comments: