2009-02-01

俳人以外の5人が選ぶ「週刊俳句新年詠(上)」

俳人以外の5人が選ぶ「週刊俳句新年詠(上)」

選;友達2人・家族3人   記;佐藤文香

2009年1月4日。俳句を読むのも、選ぶのも、「俳句を作る人間」。そんな現状を打破するためには、「俳句を作っていない人」がどういう句を好むか、という市場調査が必要です。とはいえ、「100人に聞きました!」みたいなことは、すぐにはできない。よって、とにかく久しぶりに会った友達2人に「週刊俳句新年詠」を読んでもらい、好きな句を選んでもらいました。その日のうちに、私以外のうちの家族にも同じことを試してみました。まずは結果を報告します。(作者名は伏せて、読んでもらいました)

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【2点句】
1日記買う海洋深層水に泡 (シ・ゆ)
2去年今年ストローほどの縁かな (シ・心)
3正月と言われて小鼻むず痒い (シ・S)
4よそゆきの部屋着おろして御節食ぶ (シ・ゆ)
5凧上がるや資本主義老いぬ (シ・ふ)
6屠蘇なめて家長のごとき男かな (シ・S)
7平治物語絵巻の牛車初雀 (ゆ・ふ)

【1点句】
8初刷や上に猫寝て寝返りて (ふ)
9輪飾の太き整骨院であり (ふ)
10旧海軍式敬礼や初明り (シ)
11白くしづもる雑煮家なき人の世に (心)
12かちかちと火点す音の淑気かな (心)
13人類に空爆のある雑煮かな (ゆ)
14はひはひの子のつき進む淑気かな (心)
15工場の裏も七福神巡り (ふ)
16夜更けての年始帰りへ会釈かな (心)
17正月や戻り訛と黒海鼠 (シ)
18仏壇にBARの燐寸や去年今年 (シ)
19注連縄を使い回して拝みけり (S)
20正月や口開けたまま鼻呼吸 (ゆ)
21靴音は確かであるべし花の春 (ゆ)

参考;週刊俳句新年詠(上)


【まとめ】

選ぶ句は様々で、3点以上獲得した句はありませんでしたが、わりと面白い結果になったと思います。俳句(文学)と関わる度合いが高い順に並べ、それぞれの選句を簡単に分析すると、

1.ふく福(俳句甲子園出場高校の引率教員)→事柄と事柄の関係性の妙に惹かれる=既に取り合わせ頭脳
2.心太(日本語学を研究)→ストーリー性のある句が好き=自分にない、詩的なものを求める
3. ゆーき(院生、文学系)→行動への共感や納得ができるものを好む
4. summy(学生、語学系)→面白いものにしか興味がない
5.シゲ(院生、法律系)→好きな言葉を含む句=好きな句

少しこじつけたところもありますが、この結果は大変興味深い。この中で一人、ふく福氏は月に3回程度句会に参加していることもあり、「俳句を作る人間」に分類されます(しかし彼女は「俳人」ではなくあくまで俳句を学ぶ「教員」です)。心太氏は句集や俳句雑誌などを読んだりすることから、「俳句は作らないが読む人間」という、稀な人種です。

そこで、この中でも読者として開拓しがいがあるのは、3,4,5の人たちです。3人とも、俳句を敬遠しているわけではないが、俳句との接点は少ない。こういう人たちに俳句を面白いと思ってもらう、それが、俳句の読者を増やすことにつながるのではないかと思うのです。

「共感」「面白さ」「気になる言葉」、このあたりが、俳句を作らない人に読んでもらうための鍵となるでしょう。

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