2009-03-08

後記+プロフィール 098

後記 ● 上田信治


先月2月19日、現代俳句を代表する作家、阿部完市さんが、81歳で永眠されました。つつしんでご冥福をお祈りもうしあげます。

今号は、阿部完市さん追悼の小特集をおおくりします。

今日の午後、今号のアップの準備をしていたとき、注文していた阿部さんの句集『水売』(角川書店)がとどきました。この2月27日の刊行で、阿部さんはこの句集を見ることが出来たかな、と思いながら、立ったままぱらぱら読みはじめて、そのままその場に座って、ぜんぶ読んでしまいました。

むちゃくちゃおもしろい。田中裕明さんのときもそうでしたが、亡くなられたときに出た句集がすごいというのは、すごいことですね。

あとがきには「二〇〇四年より、二〇〇八年までの句。すべて、病中吟。つねに〈今〉の私の一句一句でありたいと念じている」とあります。

桜騒箱をならべて箱のこと
日本海沿岸この家は平屋建です
現住所長崎市現川うつつ
桜鯛咲いて泳いでいきにけり
ぽーらんど三日四日五日間である


あ、ぽーらんどの句は、あたまの中でタテ書きに変換してお読み下さい。そのほうが笑えます。

特集中の拙文で引用した「空豆」の句が、句集ではちがう形になっていてました。
雑誌発表はこの形(二カ所で見たので誤植ではありません)。

空豆空色負けるということ

読者として、このかたちに愛着を感じています。華麗でアブストラクトで。
でも、阿部完市は、こう直しました。

空豆そらまめ負けるということ

多分、こっちのほうがより気取りがなくて、人間っぽい。
そうか、こっちなのか、と思いました。

この機会に、多くの読者が、あらためて阿部完市さんの句業にふれられることを、願ってやみません。

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では、また、次の日曜日にお会いしましょう。


no.098/2009-3-8 profile


■井越芳子 いごし・よしこ
1958年東京生まれ。1984年「畦」入会。1995年「青山」入会。「青山」同人。句集『木の匙』『鳥の重さ』。句集『鳥の重さ』(ふらんす堂)により、2008年俳人協会新人賞受賞。

■宮崎斗士 みやざき・とし
1962年、東京生まれ。「海程」同人。第五回海程会賞受賞。
機関誌「青山俳句工場05」編集・発行。現代俳句協会会員。
句集『翌朝回路』(六花書林)。

■島田牙城 しまだ・がじょう
1957年京都市生まれ。波多野爽波に師事。「青」編集長などを経て、現在「里俳句会」代表。邑書林編集長。句集『袖珍抄』(2000)。
邑書林 俳句の里の交差点

■三宅やよい みやけ・やよい
1955年神戸市生まれ。現代俳句協会会員。「船団の会」会員、「豆の木」に参加。句集『玩具帳』『駱駝のあくび』。清水哲男『新・増殖する俳句歳時記』木曜日担当。

■橋本 直 はしもと・すなお
1967年生。「豈」同人、「鬼」会員。「俳句の創作と研究のホームページ」

■五十嵐秀彦 いがらし・ひでひこ
1956年生れ。札幌市在住。現代俳句協会会員、「藍生」会員、「雪華」同人、迅雷句会世話人。第23回(2003年度)現代俳句評論賞。サイト「無門」

■大畑 等 おおはた・ひとし
1950年和歌山県新宮市生まれ。第21回(2001年)現代俳句評論賞受賞。03年1月ホームページ「俳かぐら」開設。現在、「遊牧」同人、「西北の森」会員。現代俳句協会会員。著作:私家版句集「むぎ懲役」、「おおいとⅡ(共著)」。http://www.hat.hi-ho.ne.jp/hatabow/

小田信太郎 おだ・しんたろう
1955年、山口県生まれ。関西在住。作句は我流。所属結社等はなし。ブログ「かわうそ亭

小野裕三 おの・ゆうぞう
1968年、大分県生まれ。神奈川県在住。「海程」所属、「豆の木」同人。第22回(2002年度)現代俳句協会評論賞、現代俳句協会新人賞佳作、新潮新人賞(評論部門)最終候補など。句集に『メキシコ料理店』(角川書店)、共著に『現代の俳人101』(金子兜太編・新書館)。サイト「ono-deluxe」

■関悦史 せき・えつし
1969年、茨城生まれ。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞受賞。
URL:http://etusinoheya.hp.infoseek.co.jp/(管理人は別人)
URL:http://kanchu-haiku.typepad.jp/blog/(句集紹介用ブログ)

■冨田拓也 とみた・たくや
1979年大阪府生まれ。第1回(2002年)芝不器男俳句新人賞受賞。 現在 「豈weekly」で「俳句九十九折」を連載中。

■中村安伸 なかむら・やすのぶ
1971年、奈良県生まれ。東京都在住。現代俳句協会会員。「豈」同人。共著に『無敵の俳句生活』俳筋力の会編(ナナ・コーポレートコミュニケーション)、『21世紀俳句ガイダンス』現代俳句協会青年部編(邑書林)。サイト「yasnakam.net」  「豈weekly」

■堀本 吟 ほりもと・ぎん
1942 年、犬山市生まれ、松山市育ち、生駒市在住。俳歴20年ほど。「船団」を経て「豈」所属。1970-80年代の俳句ニューウエーブの群像にまき込まれるよ うに短詩形文学の場に入る。この世代からの影響は大きい。現在の新世代も全く異ジャンル、新鮮である。ここ4、5年は川柳と俳句の接点の表情をみることに 腐心した。そこからすこし進んで、現代詩の根拠に定型の問題を措きたいと考えている。著書、評論集『霧くらげ何処へ』(深夜叢書社)。
 
■山口優夢 やまぐち・ゆうむ
1985 年、東京生まれ。東京大学理学部四年生。東大・早稲田など東京の学生俳句サークルやTHCの句会などに参加。第六回俳句甲子園団体優勝・個人最優秀賞。第 二回龍谷大学青春俳句大賞大学生部門最優秀賞。第四回鬼貫青春俳句大賞優秀賞。好きな惑星は火星。ブログ「そらはなないろ」

■小池康生 こいけ・やすお
大阪出身。「銀化」新人賞受賞。「銀化」同人。俳人協会会員。

■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952 年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」(小池正博・野口裕)。2月1日に、第三号を発行。入手希望の方は、 yutakanoguti@mail.goo.ne.jpまで。進呈します。 サイト「野口家のホームページ」


■岡村知昭 おかむら・ともあき
1973年滋賀県生まれ。「狼」「豈」同人。

小林鮎美
1986年群馬県北部山沿い生まれ。文芸同人誌『界遊』に参加しています。

■長嶺千晶 ながみね・ちあき
1959年東京生まれ。20歳のとき母の手ほどきで俳句を始める。82年「萬緑」入会、20年余り所属ののち、退会。現在「ににん」同人。俳人協会会員。世界俳句協会会員。句集に『晶』、『夏館』、『つめた貝』(最新刊・2008年)。


■馬場龍吉 ばば・りゅうきち
1952年新潟県生まれ、東京都在住。第49回(2004年)角川俳句賞受章。「蒐」編集人。俳俳本舗BBS

さいばら天気 さいばら・てんき
1955年兵庫県生まれ。97年「月天」句会で俳句を始める。1998~2007年「麦」在籍。03年「麦」新人賞、05年、06年「豆の木賞」受賞。現在「豆の木」会員。現代俳句協会会員。「七曜堂」、「俳句的日常

■上田信治 うえだ・しんじ 
1961年生れ。「ハイクマシーン」「里」「豆の木」で俳句活動。ブログ「胃のかたち」


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