〔週俳3月の俳句を読む〕
榊 倫代
無音の四角い建物
マンションの昼の閑けさ花水木 鶴岡加苗
防音にすぐれたマンションだと周囲の生活音が殆ど聞こえてこない、隣人がどのような生活をしているか全くわからないということも。
日常の中の何気ない一句ではあるのだけれど、妊娠・出産・育児をめぐる連作の中の一句であることを考えると、閑けさを感じる作者の心持に寄り添ってもみたくなる。
低月齢の乳児と一日中二人でいると、良くも悪くも自分たちだけは隔絶された空間にいるような錯覚をするものだ。眠る子の顔を眺めている時は特に。
外は爛漫の春昼であることが、無音の四角い建物の中にいる違和を強めている。
■猫髭 十句の封印による反祝婚歌 10句 ≫読む
■井越芳子 春の海 10句 ≫読む
■宮崎斗士 思うまで 10句 ≫読む
■高浦銘子 てふてふの 10句 ≫読む
■神戸由紀子 春眠 10句 ≫読む
■市堀玉宗 口伝 10句 ≫読む
■青木空知 あたたけし 10句 ≫読む
■大島雄作 納税期 10句 ≫読む
■鶴岡加苗 抱けば 10句 ≫読む
■
2009-04-12
〔週俳3月の俳句を読む〕榊倫代 無音の四角い建物
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿