〔シリーズ・休日の喫茶店〕
浅草「アンヂェラス」
中嶋憲武
夕方、アンヂェラスに寄る。浅草のオレンジ通りにあるこの店は、欧風の建物でログハウス風である。
1階は禁煙席、2、3階は喫煙席になっていて、ぼくは煙草を吸わないのだが、2階の窓際の席が気に入っていて、空いていればそこに座る。
今はどこの店でも、混んでいるときなど店員が席へ案内して席を決められてしまうが、この店はそんな野暮はしない。かなり混んでいるときでも自分で席を見つけて座ることができる。うれしい。口笛吹いちゃう。
天井が低くて落ち着くことこの上なし。2階も3階も狭くて、変った作りになっているので、ちょっと冒険心があれば楽しめる。
今日は首尾よく2階の窓際の席に着くことができた。恋人と呼べるような親しい女性と、万が一来ることがあれば、いま座ってる席の右隣のベンチシートの席に座ってみたい。
ブレンドコーヒーとアンヂェラス(店名と同名のロールケーキ。人気)を注文。しばし読書。前の席には紅毛のカップル。キャメロン・ディアスとポール・ウエーラーみたいだ。それぞれウイスキーとコーヒーを注文している。
読書、はかどる。窓は鎧戸になっていて、眼下を犬を連れて散歩する人がよく見える。ちょっと太り気味のコーギーだとか、ダックスフンドなどがよく通る。昼間は暑かったが、窓から入ってくる風がつめたくなって来たので、鎧戸を閉める。
皿が空いたからといって、店員が来て「こちらお下げしてよろしいでしょうか」などと野暮を言って、さっさと下げたりしない。いつまでも空の皿が目の前にある。
ここの店主の好みなのか、壁に絵がいっぱい飾ってある。会計のときに2階に架かってた絵は誰が描いたのか聞いてみたら、誰も知らなかった。今度いらっしゃるときまでには聞いておきますと言っていた。
仲見世を歩いていると、おもちゃ屋に「くまさん応援団」を発見。(応援団といってもひとりだが。一頭と言うべきか)てけてけと太鼓を叩いて、ぴよぴよ笛を吹く動作を繰り返すけなげなおもちゃだ。
このくまさんに部屋で応援してもらいたいと思い、うっかり購入しようとするが、フォーティエイトのおっさんがいい年こいてと、誰かが囁いたので購入を止す。
2009-04-19
〔シリーズ・休日の喫茶店〕浅草「アンヂェラス」 中嶋憲武
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