毎週日曜日更新のウェブマガジン。俳句にまつわる諸々の事柄。photo by Tenki SAIBARA
わたしは、この姿勢がいまの社会的な関心の代表だと思う。この連作の主役があこがれているらしい「党」の存在感が薄い。これはやはり、時代のせいだろうと思う。どんなに書いても日常へ帰されてしまうのはかえって悲劇。前世は党員たんぽぽの熟す神兵に水筒ありや麦の秋党勢の挽回へ麦熟れにけりはと麦の一切みかど嫌いかななど、モチーフへの偏愛があり、取り合わせがまた暢気だ、あたりまえすぎる。ここに、諧謔といわゆる真面目さを両方みてしますう、「御真影。伏せ字、党勢の挽回。正社員」、それらは、意味が固定していて強く二びくために、かえってまわりの自然体の季語世界にとけこんでいる。党勢の挽回へ麦熟れにけり 知昭とすんなり書かれると、すごいひにくだなあとおもって、しかも、合いすぎている。春光の国の殺菌はかどらぬつちふれり大声さらに涙声春霞セロハンテープ剥がせども列んでいる、この3句は佳品だと印象受けた。時事用語があまりでてこないのに、イメージがふと危険なものへの誘いとなってくる。
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わたしは、この姿勢がいまの社会的な関心の代表だと思う。
この連作の主役があこがれているらしい「党」の存在感が薄い。これはやはり、時代のせいだろうと思う。
どんなに書いても日常へ帰されてしまうのは
かえって悲劇。
前世は党員たんぽぽの熟す
神兵に水筒ありや麦の秋
党勢の挽回へ麦熟れにけり
はと麦の一切みかど嫌いかな
など、モチーフへの偏愛があり、取り合わせがまた暢気だ、あたりまえすぎる。ここに、諧謔といわゆる真面目さを両方みてしますう、「御真影。伏せ字、党勢の挽回。正社員」、それらは、意味が固定していて強く二びくために、かえってまわりの自然体の季語世界にとけこんでいる。
党勢の挽回へ麦熟れにけり 知昭
とすんなり書かれると、すごいひにくだなあとおもって、しかも、合いすぎている。
春光の国の殺菌はかどらぬ
つちふれり大声さらに涙声
春霞セロハンテープ剥がせども
列んでいる、この3句は佳品だと印象受けた。時事用語があまりでてこないのに、イメージがふと危険なものへの誘いとなってくる。
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