2009-09-27

〔著者に聞く〕『俳句発想法100の季語』の著者・ひらのこぼさん

〔著者に聞く〕 「ほんと、俳句っておもしろいですね、ご同輩」
『俳句発想法100の季語』の著者・ひらのこぼさん


 こんにちは。『俳句発想法100の季語』(草思社)の刊行、おめでとうございます。

ひらの ありがとうございます。

 初版発行が10月1日となっていますが、この週末から書店に並んでいますね。ひらのさんの前二著『俳句がうまくなる100の発想法』『俳句がどんどん湧いてくる100の発想法』は、よくある入門書とは違い、具体的な発想からスタートした、ユニークな俳句ノウハウ書でした。企画のきっけのようなものはあったのですか?

ひらの 五十近くなって急に俳句というか句会の面白さにはまってしまって仲間と毎月句会を始めました。といっても指導者もなく大した経験のない者ばかりで始めましたから数ヵ月後にはマンネリになります。なんとかもっと句の幅をつけないと句会もつまらなくなってくる。俳句の発想法の型を整理してみようと思いました。

俳句の型には二つあると思います。一つは構文というか組み立て方。上五で切って体言止めとか一句一章でかな止めとか。句またがりでのリズムを整えたり、あえて動詞を重ねる型などもあります。

もう一つがどんな切り口でなにを詠むかというハウツー。いわば俳句をどう発想するかです。

一つ目の構文というか修辞ということでは俳句を数多く読むうちに自然と習得します。

一方、発想という面では、かなり意識して型を整理して自分のものとして頭に入れておかないといけません。

ということで「俳句の発想100の型」というのを先人の句をベースにまとめてみました。それが一冊目の「俳句がうまくなる100の発想法」です。

 今回の『俳句発想法100の季語』も、同様の切り口ですね?

ひらの そうですね。歳時記を見ても季語に関する知識はつきますが、いざ句を作ろうと思って例句を眺めていてもなにも浮かびません。名句が並べられても実際の句作へのヒントにはなりません。もっと実作に役立つマニュアルのような歳時記が作りたいというのが狙いでした。

 この本ではタイトルにもあるように100の季語について解説されています。100に絞り込むのは苦労されたのではないですか?

ひらの なにしろ季語は普通の歳時記に載っているものでも5000以上ありますからどう選んだものかとは思いました。兼題でよく出されそうなものを中心に発想のバリエーションのありそうなものをとりあえず選んで執筆しました。ハハ、ちょっとイージーだったかもしれません。

ということで季語選びには苦労はしませんでしたが、例句選びは大変でした。

前著と違って今回はテーマが季語ですから歳時記や季語別に整理された句集とかを見ればいいかと思っていたのですが、型になりそうなものでかつ自分が気に入った句となるとなかなか見当たりません。ずいぶん句集やアンソロジー、俳句雑誌などを読みました。

 執筆に際して気にかけたことは?

ひらの 自分自身も俳句を始めて10年ちょっと。大した句は作れませんが、「俳句が好き」ということでは人後に落ちないと思っています。

そんな俳句を始めて間無しの「俳句が好きでたまらない」という人へ「ほんと、俳句っておもしろいですね、ご同輩」という気持ちで書きました。これは前著も同じです。

ひょっとしたらこの本を読んでも、実は急には俳句が上手くなったりしないんじゃないかと思います。でも「俳句ってやっぱり面白いなぁ」と感じていただけるきっかけになるのではと期待しています。私にとっても「こぼの選んだアンソロジー」といったものになっているので、とても愛着を持っています。


(聞き手:さいばら天気)


1 comments:

哲郎 さんのコメント...

ひらのこぼ氏の発想法シリーズ三部作に従って、俳句を詠む実験的試みにチャレンジしてます。
http://1948-07-10.at.webry.info/