週刊俳句2009年アンソロジー 108人108句〔3/3〕

週刊俳句2009年アンソロジー　108人108句

〔3/3〕

※アイウエオ順

※新年詠、落選展出品作は割愛させていただきました

仏陀の目めきたる雨の蛍かな　　夏井いつき　　第107号

穴掘ったがどうしたものよ花踊　　鳴戸奈菜　　第138号

剥がしてはならぬ布団と思ふべし　　西村麒麟　　第136号

遠火事や豚は逆上がりの最中　　二輪 通　　第91号

一枚の銅版画一月の夜　　猫髭　　第97号

はこべらにフォーカスあわせ雨の中　　野口 裕　　第100号

近況のあまり変はらぬ残暑かな　　野口る理　　第121号

夏のごと地下鉄の延ぶ大倫敦　　橋本 直　　第120号

息やめてしまふが別れ掛布団　　長谷川 櫂　　第138号

ほよそろそろ転（まろ）びだしさう春まひる　　羽田野令　　第100号

国に恩売りしことあり蠅叩く　　八田木枯　　第119号

あたたかや宿坊傘を干し並べ　　浜いぶき　　第100号

東京は西に山なす新酒かな　　広渡敬雄　　第92号

研ぎ終へて庖丁光る朝曇　　日原 傳　　第110号

零余子落つ人の名呟けるやうに　　ふけとしこ　　第125号

すこやかな日をしまひけり毛糸玉　　藤 幹子　　第139号

飛行して雲に羽根置く大暑かな　　藤田哲史　　第115号

鳥の巣の他は目立たぬ一樹かな　　星野高士　　第106号

梅は咲く天守閣金色（きん）うそっぽく　　堀本 吟　　第100号

秋風のニスの匂ひを花かとも　　正木ゆう子　　第130号

林中のあらゆる記憶草いちご　　まり　　第120号

誰彼の朧となれば繋がつて　　麻里伊　　第104号

病院の奥に馬の目梨の花　　彌榮浩樹　　第95号

たんぽぽに小さき虻ゐる頑張らう　　南 十二国　　第104号

舟虫や暇もてあそぶとふ遊び　　水内慶太　　第117号

ハンマー投げ一瞬の黄水仙なり　　宮崎斗士　　第98号

竹林の青しんしんと滝ひびく　　村上鞆彦　　第119号

遅き日のひとの集まる大時計　　村田 篠　　第100号

花札の裏は真黒田螺和へ　　山口昭男　　第102号

百貨店地下三階の熱帯魚　　山口珠央　　第118号

夜も亜細亜ながながと川風の吹く　　山口優夢　　第123号

山藤といふ波頭しぶきけり　　山下知津子　　第108号

春なれや波の音する洗濯機　　山田露結　　第100号

還暦や山は満点大笑　　雪我狂流　　第100号

土日のみ開く蕎麦屋よ冬ぬくし　　吉田悦花　　第134号

百年の恋は椿を踏んでから　　渡部州麻子　　第107号


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