【週俳1月の俳句を読む】
月野ぽぽないろいろな白
下着ほど白き新日記をひらく 青山茂根
新年に向けて日記帳を選んだ。それは下着を選ぶときの感覚と似ているかも知れない。片や心に片や体に、ときに敏感なところにも触れるもの。だから自分の肌に合った心地よいものを選びたい。「白き新日記」。下着の繊維の種類によって、その色合いはその感触と共に違ってくるだろう——−絹か木綿か化繊にするか、あなたの好みはどれですか−—−。その日記を今日開く。記してゆく度に、それは肌に馴染んでゆく下着のように自分の温度に近付いてゆくだろう。
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初空のやうなものらつぷとつぷから 小川楓子
ラップトップのモニターに初空の画像が届いた。初空として目の前にあるそれの正体は、微小なRGB(Red:Green:blue)の3つの輝点を操作することによって作られたものであり、初空そのものではない、そうそれは「初空のやうなもの」。IT社会の只中の正月の一コマとしてさりげなくやわらかく結晶しているこの句から、もう一つ不思議な面白さを体験した。 この一句が指し示す対象(この鑑賞文内の第一第二文の内容)に至るまでに通った音読の道すがら、「ラップトップ」が「らつぷとつぷ」と表記されていることに気づく一瞬前、そのマジカルな字面と音「…Mo/No/Ra/Tsu/Pu/To/Tsu/Pu/Ka/Ra」の快楽があった。あたかも言葉達が、自らの字面や音としてのみあることの喜びに耽っているような。この間はほんの刹那。ほとんど同時に起る二重の楽しみがそこにあった。
■明隅礼子 冬銀河 10句 ≫読む
■三木基史 雑音 10句 ≫読む
■谷 雄介 サ ラリーマン戦線異常なし (1) 10句 ≫読む
≫新年詠(1)第141号 2010年1月3日
≫新年詠(2)第142 号 2010年1月10日
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2010-02-07
【週俳1月の俳句を読む】月野ぽぽな いろいろな白
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