2010-02-07

【週俳1月の俳句を読む】 岡本飛び地 ただただ、かっこいい

【週俳1月の俳句を読む】
岡本飛び地
ただただ、かっこいい


書初のはの字つの字に日の字かな 鈴木不意

一字一字を区切るこの書き方が新鮮で面白い。
一文字ずつ、丁寧に、集中して書いているとわかる。

一生懸命 はの字 を書いて、
次に つの字 を書き始めて、
その時にはもう はの字 のことを忘れている。
そんな風にして書くもんだから、全体のバランスが崩れちゃってるかもしれない。
まだ習ってない漢字をひらがなで書いているのだと思うと、なお愛らしい。





天の水地の水に跳ね初景色 三木基史

まず始めに、水と水が触れる一点、かつ一瞬。
少しだけ視界が広がり、跳ねる水。
水の出所を辿ると見える天と地。景色全体。

この視界の広がりが楽しい。
新年にふさわしい壮大な景色になる。
決して良い天気ではないはずなのに
神々しいくらい明るい景色が浮かぶ。

ただただ、かっこいい、と思う。




去年の4月にサラリーマンになった。
サラリーマンにとって、仕事とはある意味、戦闘だと思っている。
成果を挙げるために、強くなるために、戦わなければならないと。
だから、先週号の週刊俳句の目次にこう書いてあり、嬉しく思った。
「サラリーマン戦線異常なし (1)」谷雄介
そうか、谷よ。
後輩でありながら先に社会人になった谷よ。
お前も仕事を戦だと思い、日々戦っているのか。
ならば君は戦友だ。
同じ時代の中で共に戦おうではないか、なあ谷よ。

と思って読み始めた1句目が

満員電車より吐き出さる一死体

ちょっと違った。

ホームに立ち、足元に倒れ伏す一人の男を見下ろす。
彼が乗っていた電車は去ってしまった。
見覚えのあるシルエットとひびの入った眼鏡。
鞄からこぼれた社員証には「タニ・ユースケ」の文字。
タニよ。君は毎日、こんなになるまで押し潰し、押し潰され、
それから一日が始まっていたんだね。
敬礼。
疲れ果てた君の魂が少しでも安らげるように、
横たわるタニの傍らで、ずっとずっと、敬礼をし続けよう。
「サラリーマン戦線異常なし (2)」を読む日が来るまで。



明隅礼子 冬銀河 10句  ≫読む
三木基史 雑音 10句 ≫読む
谷 雄介 サ ラリーマン戦線異常なし (1) 10句 ≫読む
新年詠(1)第141号 2010年1月3日
新年詠(2)第142 号 2010年1月10日

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