10句作品テキスト 田島健一 残酷

　残酷　　　田島健一

亀鳴くや沖に時価総額の船

乱れなき父が風船抱いている

朝日燦菜の花透けて詩の音色

壷焼や鈴がこぼれて火におちる

父はひかり届かぬからだ朝桜

眼をつよく儚く蛇出づるメイク

空に鈴町ゆれる桜の辻にいる

全力の母にわすれなぐさ願う

架空より来て偶然の海へ蝶

雉抱いてまだ残酷は来ていない

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