2010-04-11

後記+プロフィール 155

後記 ● さいばら天気

井上ひさしさんが、9日夜、お亡くなりになりました。産経ニュースには、「「ひょっこりひょうたん島」の井上ひさしさん死去」とあり、「ひょっこりひょうたん島」でいいのか、他に大きな仕事があるだろう?という気もする半面、私自身は、「ひょっこりひょうたん島」世代であります。

ドンガバチョが投げた超スローボールは日が暮れてもまだ本塁に到達することなく、日没サスペンディッドで翌日再試合。人それぞれの寿命を予告する蝋燭。海賊トラヒゲが自分の蝋燭の短さに絶望するシーン。美人教師サンデー先生にときめき、黒ずくめの元シカゴ・ギャングたるマシンガン・ダンディの虚無と優しさを男性としての理想像とし(ぜんぜん実現できてない)、そのほかたくさんの登場人物に魅了されたのです、じつに。

そして、まえにどこかで書きましたが、ひょうたん島の在り方。すなわち、いずれにも領土化されず、帰属せず、海をちゃぷちゃぷと漂うひょうたん島の在り方は、私をなんらかに方向づけるものであったと、大げさに振り返ることもできます。たまたまそこに居合わせた人たちが、ファーラウェーフロムホーム、故郷を遠く離れ、小さな共同体として彷徨をつづけるさまは、すがすがしくもあり、悦ばしくもあり、哀しくもあり。「ひょうたん島」という比類なき物語を紡いだ、大いなる才能の人として、井上ひさしは、私に記憶されてゆきます。

ご冥福をお祈りいたします。



こじつければ、この「週刊俳句」も、ひょうたん島のようであります。領土化されず帰属せず、理念を掲げず、どこへともなく漂う。書き手と読み手は、たまたま、ウェブ上の、とあるアドレスに居合わせ、俳句という事件/俳句という日常の中へ、外へ、個々人がこうと決めたスタイルでコミットする。ほら、そっくりじゃないですか。

ま、それはともかくとして、週刊俳句の3周年記念オフ会まで、あと20日間を切りました。どうぞ万障お繰り合わせの上、おいでください。



それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.155/2010-4-11  profile

■藤田直子 ふじた・なおこ
1950年、東京都生まれ。「未来図」同人、「秋麗」主宰。俳人協会幹事。句集『極楽鳥花』『秋麗』

■満田春日 みつだ・はるひ
1983年、「海」 入会、作句開始。2002年、「ゆう」入会。04年、第五回「ゆう俳句賞」受賞。06年、「はるもにあ」創刊。「静かな場所」同人。句集に『瞬』『雪月』(ふら んす堂)。

■今井肖子 いまい・しょうこ
1954年神奈川生まれ。東京都在住。「ホトトギス」同人。

■小池康生
 こいけ・やすお
大阪出身大阪在住。 「銀化」新人賞受賞。「銀化」同人。俳人協会会員。

■猫髭  ねこひげ
「きっこのハイヒール」所属。 サイト「三畳の猫髭」

■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952 年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」(小池正博・野口裕)。2月1日に、第三号を発行。入手希望の方は、 yutakanoguti@mail.goo.ne.jpまで。進呈します。 サイト「野口家のホームページ」


■石地まゆみ いしぢ・まゆみ
1959年東京都生まれ。1987年朝日カルチャーセンターにて作句開始、橋本風車に師事。1990年「未来図」入会、鍵和田秞子に師事。1995年「未来図」新人賞受賞。 1996年「未来図」同人。2008年句集『赤き弓』上梓。俳人協会会員。http://www2.odn.ne.jp/m-ishiji/

■大川ゆかり おおかわ・ゆかり
1958年 長 崎県対馬生まれ。「沖」「沖長崎」同人・俳人協会会員。句集「炎帝」(ふらんす堂)

■上田信治 うえだ・しんじ 
1961年生れ。「ハイクマシーン」「里」「豆の木」で俳句活動。ブログ「胃のかたち」

さいばら天気 さいばら・てんき
1955年兵庫県生まれ。1997年「月天」句会で俳句を始める。1998~2007年 「麦」在籍。現在「豆の木」会員。現代俳句協会会員。2003年「麦」新人賞、05年、06年「豆の木賞」受賞。ブログ「俳句的日常」「七曜堂」 twitter

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