【週俳4月の俳句を読む】
控え室……三木基史
素敵な作品と出会った時に、「この句の作者はどんな人なのだろう?」と想像するのが好きだ。
俎にゆたりと鯉の昼寝かな 扇風
扇風は尾津喜之助の俳号だそうである。
さてさて、4月の週刊俳句でも、興味深い作品と出会うことが出来た。
◎「飛花となる」 松尾清隆
ボンネット滑りふたたび飛花となる
日常生活では見向きもしない景の一瞬。このボンネットがゴツゴツした高級外車のものだと想像すれば、なお楽しい。その上をサラリと滑る桜の花弁。実際には滑り落ちていくのだろうが、ボンネットを滑走路にして、再び舞い上がるような景が浮かぶ。
◎「スピード」 満田春日
天上のふるへつたはる糸桜
糸桜はその名の通り、枝のひとつひとつは細く垂れ下がっているのだが、全体を見るとかなり豪華で存在感がある。そこに天上の別世界との繋がりを感じるという神話的な雰囲気がいいなと思う。
◎「残酷」 田島健一
抽象的な語句をちりばめた挑戦的な十句。もちろん作者にとってはこれが普段通りで、とりたてて挑戦的ではないのかも知れない。どの句にも限りなく「虚」に近い「実」が内包されているようで、それが作者の振り幅なのか揺らぎなのかも分からない。不思議と引っ掛かりのある作品。
■松尾清隆 飛花となる 10句 ≫読む
■蜂谷一人 波蘭 10句 ≫読む
■藤田直子 踏青 10句 ≫読む
■満田春日 スピード 10句 ≫読む
■田島健一 残酷 10句 ≫読む
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2010-05-02
【週俳4月の俳句を読む】三木基史
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