2010-06-06

テキスト版 楽しい波郷30句

楽しい波郷30句


暖かや俳句作りも鱒釣りも
迎へ且つ送る酔漢が春惜しむ
春月やあはれ新宿三丁目
君が筆誰を書くやら梅の花
蒼空や命継ぐごと椿買ふ
がらがらをもて呼ぶ酒や花辛夷
木瓜の春ヌードに現抜かすなよ
機嫌の子やがてぐずる子桜草
ママさんの酔ふ夜は愉し桜草
犬ふぐりわれら健康大切に
五月はやオンザロックの音親し
七月やセビアンの夜は去り難し
暑き夜はせびあんを訪へハイボール
ブランデーの酔ツーロックシヤンプやや暑し
風鈴や膝打つて酔ふ一庭人
厨房の歌夏痩もなかりけり
ほしいまま鮎焼いて吾は病王者
秋の航鶴千人をのこしけり
根性の句をつらぬきぬ露ぶすま
連衆に合の濁酒たいせつに
虚子の句の幼覚えの朱欒かな
バー鶴の二階に小唄神無月
大寒のバア鶴帰る如く訪ふ
春待つや左右に子を得し勝彦も
ほのぼのと真砂女君女や春近し
北海道は誰も行きたし雪初め
生涯をつらぬく恋や河豚汁
遅れきてあんこう鍋の無かりけり
三鬼に女いぬ冬椿咲きつづく
年立つや酒はのんでも飲まいでも

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