【週俳8月の俳句を読む】
栗山心
点取り占い
オイオイとツッコミを入れたくなるような、そして、すんなり着地しないような、不
思議な味わいの句が好みです。
間男のやうにテントを這ひ出しぬ しなだしん
なんとも言えない、トホホな感じ。そういう自分を楽しんでいる、オトナの余裕を感じます。
折悪しく留守にしてゐて法師蝉 小豆澤裕子
手花火で聞き出すそこの所かな 同
「折悪しく」という割に、深刻ではなさそうな、でも一体なんだったんだろう。「そこの所」の「そこ」ってどこだよ~、と思わず呟いてしまう。手花火だから、恋愛句なのかな、思春期近い子供と親とも読めるし。俳句初心者の頃から、「想像力を働かせなさい」とは教えられてきたけれど、想像力の「働かせ甲斐」のあるこんな句は、思わずニンマリ。
その窓に揚羽ばかりが来て困る 小川楓子
「困る」と言いながら、全く困っていないし、むしろ喜んでいるような。この感じ、何かに似ている、思って、よくよく考えると、駄菓子屋で売っていた「点取り占い」。今やネット通販やツイッタ―でもお馴染みですが、「占い」という割に、疑問形あり、過去形あり、単なる感想、要望あり。ヘタウマで味のあるイラストと共に、繰り出される占いは、ほとんどが意味不明。占いの内容と末尾の点数に法則もなく(ポジティブなものは点数が良いのかと思いきや、例外も多数)開いても開いてもキリがない、不思議な小宇宙でした。
自分の好きな俳句の原点は、「点取り占い」にあったのか、という、今回、嬉し恥ずかしい発見をしました。
グッときたね ○9点
■岡田一実 銀の粉 10句 ≫読む
■松本てふこ フジロックみやげ 12句 ≫読む
■小豆澤裕子 踏ん張る 10句 ≫読む
■小川楓子 その窓に 10句 ≫読む
■しなだしん なんとなく 10句 ≫読む
■岡本飛び地 病室 10句 ≫読む
■たかぎちようこ めし 10句 ≫読む
■高山れおな 昨日の明日のレッスン 46句 ≫読む
〔ウラハイ〕
■松本てふこ コミケに行ってきました 10句 ≫読む
■藤幹子 あれを好く コミケ想望句群 10句 ≫読む
〔投句作品〕
■湊 圭史 ギンセンカ 8句 ≫読む
■すずきみのる げげげ 10句 ≫読む
■俳句飯 秋より遠き 5句 ≫読む
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2010-09-05
【週俳8月の俳句を読む】栗山心
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