2010-11-14

平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(秋)

井照敏 『新歳時記』(河出文庫) っこむ ()  

ハイクマシーン(佐藤文香・上田信治)


◯季語についての記述は、すべて平井照敏編『新歳時記(秋)』(河出文庫)より引用。

◯カッコ・書体の種類により引用の【季題】「季題解説」〈本意〉 例句 を区別する。

◯文字の色や大きさは、引用者によって変更されている。

◯※印は、引用者のコメント。



今年はもうほとんど、秋がなかったんですが。歳時記の秋はいつでもいい季節。



時候
【八月】

「(…)立秋以前は天候がよく、登山によいが、立秋以後になると、山も涼しくなり、海水浴も下火になる。台風の発生も多く、土用波が立つ。暑さのピークのある月だが、下旬になると冷たい日があることもある。」
※「冷たい日」?となったのち、泳ぐ気だったんだと気づく。


【すさまじ】
「晩秋のつめたい、凄まじい感じをいう。(…)」
※……。


【冬近し】
「秋もおわり近く冬がすぐそこにあるときである。冬のくらさ、きびしさが圧迫感となって迫ってくる気がする。(…)」

(…)切迫した、おびえのような、緊張した気持がある。〉
※たいへんな、おびえようである。



天文
【名月】
〈古典に名句は数多く、厚い伝統の蓄積を感ずる。
乳房にああ満月のおもたさよ  富沢赤黄男

※間違ったこと書いてないのに、笑ってしまった。そののちの、おっぱい俳句。



地理
【秋の山】
〈『万葉集』にある「春は萌え夏は緑に、くれなゐの綵色(しみいろ)に見ゆる秋の山かも」(二一七七番)のように、山は四季それぞれに美しいが、秋はとくにはなやかで明るく、それでいてどこかさびしげなところをもっている。春は山笑ふ、夏は山滴る、秋は山粧ふ、冬は山眠るである。〉
駆け下る我を石追ふ秋の山  大橋桜坡子

※全部言ってしまっているシリーズ。前回は「春の星」でしたが。それにしても、大橋さんは、大丈夫だったのか? 

※この人の俳号は「おおはし・おうはし」と言い、斉藤齋藤さんのようである。



生活
【夜食】
「夜業や夜なべのあと、空腹をおぼえるので軽い食事をする。雑炊、あるいはさといも・じゃがいも・さつまいも・えだ豆のゆでたもの、餅・そば・うどん・だんご・かやくめしなどを食べることが多かった。夜泣きうどんうどんの出前も夜業と関係がある。」
*舌嚙むなど夜食はつねにかなしくて  佐野まもる

※照敏さんの解説とは裏腹に、ツラい一句。「例句中、季題の特徴をもっともよくあらわしていると思われる一句(*)」とされています。


【夜業】
〈夜なべの近代工業化したものという感じである。納期の迫った製品を頑張って作っているあわただしい雰囲気が夜寒の頃と相まって、忙しさを絵にかいたような感じである。〉

夜業人に調帯(ベルト)たわ\/たわ\/す  阿波野青畝

※本当に、お疲れ様です。


【添水】
「水がたまって重くなると竹がさがり水が流れ出て軽くなり、はね上る。すると他端が急にさがり、石や金を打って(…)九州では兎鼓とか左近太郎とか呼ばれ、山口でさこんたともいい、またなまって迫の太郎ともいわれていた。」

〈水による、しゃれた動物おどしである。〉
※どこからつっこんでいいか、分からない。



行事
【敬老の日】
〈平均寿命が高まり、高年齢層の数がふえている今日、老人医療、老人福祉の問題はかつてない重要さを加えている。老人の慰安会養老院の慰問敬老会などだけにとどまらぬ、この問題の掘り下げが必要である。〉
老人の日の大きな鯉がとびあがる  生駒花秀

※高齢化問題が気になっている。



動物
【鹿】
「鹿の交尾期は十月から十一月にかけてで、この頃雄はヒヨヒヨヒューヒューという声で鳴いて、他の雄に挑戦する。角をつきあわせて押し合うもので、逃げた方が負けになる。雄は負けた雄の連れていた雌を自分のものにし、ふつう雄一頭が五、六頭の雌をつれていてハーレムをなしている。(…)」

【猪】
「猪は偶蹄目いのしし科の獣。晩秋頃、夜になるときまった猪道を通って歩きまわり、鼻で地面を掘って小動物や植物の根をさがし、また田畑のいねや甘藷を食いあらす。いねは穂を食いちぎるだけでなく、ころげ回って押し倒し、畳のようにしてしまう。

※ 動物の項のはじめが、「鹿」「猪」。その次の「馬肥ゆる」「蛇穴に入る」「穴まどひ」あたりまで一気に読んでいただきたいところです。



植物
【柿】
は果物の中でもっとも古くから栽培されてきたもので、野生種からいろいろな種類に改良されてきた。実はあざやかな紅色に色づき、つやつやと輝いて美しい。甘と渋の二種に大別できるが、甘には御所・富有・次郎・禅寺丸などがあり、富有次郎が最上品である。渋には会津身不知、平核無(ひらたねなし)などがある。身不知は小粒だが、渋を抜くときわめてうまい。渋を抜くには酒や焼酎をふりまく。蜂屋は渋だが、としてうまいはこのほかに酢をつくるのに用いられる。日本の果物の中でもっともうまいとも言われる。

渋柿たわわスイッチ一つで楽湧くよ  中村草田男

※桃は「味のよい果物」、梨はある種類について「美味で評判がよい」、林檎は「食べて爽快な、美味の果物」、で、柿は「うまい」。

【熟
「晩秋、の実が十二分に熟れると、木の枝についたままで、色つやがふしぎな美しさになり、すきとおるようになって、さいごは重さに耐えず、ひとりでに滴のようにおちる。熟れすぎれば味は悪くなってゆくが、適当に熟れたすこぶるうまい。鳥がつつきに来る。」
口腔に殺到すべき熟柿かな  相生垣瓜人

※ 柿への愛のあまり、解説が詩的。かと思いきや、やはり「うまい」と。

【桐の実】
「桐の実は大きく、四、五センチの卵形で、先がとがっていて、熟すると二つに割れる。中は空室で、たくさんの種を出す。種には羽根があって飛ぶ。
桐の実や干鯵をまた乾かさむ  石田波郷

※解説も句も、とくに面白いことはない、はずなのですが。



「平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(冬)」につづく。


→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(春)

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(夏)

1 コメント:

山田耕司 さんのコメント...

笑いすぎて呼吸がヒヨヒヨヒューヒュー。