2010-11-28

テキスト版 投稿作品 久乃代糸 肌ざわり 

 肌ざわり 久乃代糸

雨となり昨日枯野の根を洗う
水売りの売る水の山天の川
片陰の肌のさわりや死守する死
ビニール傘夜寒の山河開き越ゆ
眠る時山も襖を引きにけり
蜷の道並ぶふたつの友ならず
出口まで藤棚巡る人と風
外套の中出てゆかぬ血液よ
零と壱の形美はしき真葛原
なおも霧相求めつつ濃くなりぬ

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