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2011-03-27

テキスト版 投稿作品(十月知人 澤田和弥 園田源二郎 赤間学)

 ふおんな春たち 十月知人

ていねいにつまそぎ落としつまを抱く

女優らのくちぶえはひらがなあげはちょう

おるがんのさばよみの国のアーチ

はっぽうのじゅふんうらぎる友はなし

よるはねるもなかのさなかのヘルメット

はるはんし四畳半襖の母の地図

あけていくポルノのさいてんオクトパス





 土 筆    澤田和弥

ポンポンの籠に散りたる土筆かな
(※ポンポン:バイクのカブを指す遠州弁)

土筆摘む父と初めて知りにけり

土筆摘むとき母悲します父にあらず

さつと醤油土筆煮詰めてゐる無言

摘みて煮て食ふて土筆が糞となる

一本の土筆落ちをり父の跡





 日出国  園田源二郎

野良犬の嘆息地表を温めり

人間傷み禽の眼曇り木々歪む

近未来魚眼レンズにたゆたへり

木魚割れ燈明猛り猫嗤ふ

人間の環の只中に居て骨軋む

賛美歌の音階狂ひて地下の春

御佛の腋下に宿る星数多

花々の不浄や獣の眼は闇し

祖母語る脈絡の無き地獄かな

かくれんぼ異形の佛の紛れをり





 春はあけぼの  赤間学

御統の玉貫ゐて寒昴(みすまるのぎょくつらぬいてかんすばる)

寒鯉の曳きづる闇の深みかな

二・二六声変はりして失踪す

亀鳴くや海より出でし潜望鏡

大人てふ迷ひ子をりし遍路かな

江戸は庭園都市海に椿咲く

一筋の光となりし雪解川

春はあけぼの人類といふ獣をり

水道管枝分れして春の空

水門の曳き上げらるる鳥雲に


投句作品 十月知人 ふおんな春たち

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週刊俳句 第205号 2011-3-27 投稿作品 十月知人 ふおんな春たち
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投句作品 園田源二郎 日出国

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週刊俳句 第205号 2011-3-27 投稿作品 園田源二郎 日出国
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投句作品 赤間学 春はあけぼの

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週刊俳句 第205号 2011-3-27 投稿作品 赤間学 春はあけぼの
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投稿作品 澤田和弥 土筆

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週刊俳句 第205号 2011-3-20 投稿作品 澤田和弥 土筆
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2011-02-27

テキスト版 201号投稿作品(石川順一 真鍋修也 赤間学)

 雪 中   石川順一

雪の中カートは白きテロに遭う

灰色のカートが雪の中でテロ

激走が雪の中では歩き出し

軽量のカートの脚に吹雪けり

真夜中に雪の落下の音を聞く

吹雪く時神の怒りが爆発し

軽量のカートに雪の重みかな

完全な神の怒りは雪の中

もし今が永遠なれば雪の中

吹雪く中神の怒りを知悉する





 咳    真鍋修也

クリスマスイブや仲間の底話

仕事終へがらんと白き咳始め

食積やしばししばしの惑ひ箸

幾度目の入院なるや山眠る

白い影これが肺炎咳の本

延びにけりペースメーカー交換日

点滴にぽたり呟く若菜かな

人日や点滴一架客来る

病人の汁粉に餅なし鏡割り

双六や弄ばれる上り前




 風 葬   赤間学

藁にほや農婦の奥の雲眩し

父のこゑありて新年明けにけり

海に石投げる工事や船うらら

鶏を潰しにゆくや冬の川

凍空へもっこの土を下しけり

津軽平野の凍てつゐて三四人

縄文人の骨の飢餓線冬銀河

ぼたん雪狼いまもゐるごとく

木の実張る全山いよよ風の中

草萌や大河は空に蛇行せり

投稿作品 真鍋修也 咳

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週刊俳句 第201号 2011-2-27 投稿作品 真鍋修也 咳
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投稿作品 赤間 学 風葬

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週刊俳句 第201号 2011-2-27 投稿作品 赤間 学 風葬
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投稿作品 石川純一 雪中

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週刊俳句 第201号 2011-2-27 投稿作品 石川純一 雪中
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2011-01-30

投稿作品 赤間 学 ふくと汁

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週刊俳句 第197号 2011-1-30 投稿作品 赤間 学 ふくと汁
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テキスト版 197号投稿作品(高橋透水 合原宏 すずきみのる 久乃代糸 倉本たけし 真鍋修也 赤間学)

 亀戸天満宮  高橋透水

鷽替や賽銭弾く賽銭箱

鷽替に今年も替へぬ嘘のあり

鷽替へて少女にはかに大人びる

奉納の笛の音高く里神楽

笛の音にふふむ梅どち笑ふ梅

絵馬にある訂正の文字春を待つ

菅公の好む紅とて梅咲けり

枝垂梅天蓋にして豊国の碑

子虫来て梅の一片落としけり





 初心者の俳句 合原 宏

しんしんと雪の降る中職探し

二等兵古兵にしごかれ雪の夜

無法松祇園太鼓で龍を呼ぶ

髭振りて炬燵に近き油虫

元旦や詣でて貰う風邪と熱

子供来て我が墓撫でて寒の酒

お正月何が目出度い家無し子

羊羹に寸を測りて大家族

へらへらと笑う角には鼠捕り





 二色  すずきみのる

腐草蛍に路上の石は利鎌と化す

睦言の後の秋韻双耳峰

降る雪や出雲平野に鉄の杭

水村山郭白鳥が闇を引く

新玉の携帯メール受信中

道のへは春奇形魚のでてくる日

はブラシはつつんですてる紫もくれん

ほたるの夜ふたりでアニメぶんかろん

もみぢかつちるさいふに大きなるコイン

こがらしやこぼれた酒がゆかにまで





 極東 久乃代糸

元日の箸の先から年零る

水涸れて木の踝が現われゐる

白髪を黒髪にして紅葉狩

心太山を吸う根の入りみだる

ひよつとこの面つけてゐるきりぎりす

蝸牛の夜道はくちびるを使う

極東に紅葉且つ散る浪花節

雨がふる土から葱をつくる人

海千山千買い減らす冬の米

まだにある昨日の水に薄氷が





 稲妻  倉本たけし

端居してチリメンジャコに選るいろいろ

蟻地獄きのふもけふも無為にすぐ

先生と呼ばれ青島牌酒(チンタオビール)受く

白日傘黒い日傘と鉢合わせ

捩花や姉の手紙の濡れてつく

合歓のはな狐の嫁入り土手をゆく

とっぷりと日暮れて帰る夏木立

稲妻やコツと打ちわる生卵

待宵や魚一尾焼く夕炊ぎ

胃カメラに腹さぐられしそぞろ寒





 初鏡  真鍋修也

紅を引く三面の母初鏡

まだ慣れぬ着物着る日や初鏡

風呂上がり重なる姪や初鏡

初鏡三面鏡に三母かな

初鏡少し欠けたる古さかな





 ふくと汁  赤間学

どうせすぐゆく身でありしふくと汁

松に雪文字の小さな大辞典

オーロラの白熊沖に出てゆけり

けぶり立つ富士の頂初景色

海溝に浮きて大きな鯨かな

観音の固まってゐる福寿草

印画紙の像立ち上がる十二月

しかしまだ先は遠きか木々の雪

凍鶴は宇宙への旅行ったきり  

冬苺廃鉱山の異人墓


投稿作品 高橋透水 亀戸天満宮 

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週刊俳句 第197号 2011-1-30 投稿作品 高橋透水 亀戸天満宮
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投稿作品 すずきみのる 二色

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週刊俳句 第197号 2011-1-30 投稿作品 すずきみのる 二色
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投稿作品 合原 宏 初心者の俳句

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週刊俳句 第197号 2011-1-30 投稿作品 合原 宏 初心者の俳句
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投稿作品 久乃代糸 極東

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週刊俳句 第197号 2011-1-30 投稿作品 久乃代糸 極東
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投稿作品 倉本たけし 稲妻

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週刊俳句 第197号 2011-1-30 投稿作品 倉本たけし 稲妻
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2010-12-19

投稿作品 十月知人 聖家族

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週刊俳句 第191号 2010-12-19 投稿作品 十月知人 聖家族
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投稿作品 灌木 仕様書

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週刊俳句 第191号 2010-12-19 投稿作品 灌木 仕様書
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テキスト版 投稿作品 灌木 仕様書

 仕様書 灌木

引き継ぎし椅子を据ゑたる春野かな

土塁址見えて焼野に気づきけり

空壜が泥水溜める青野かな

利腕をひろげ夏野に抱かれけり

仕様書を捨て立ち上る秋野かな

電気柵錆びて花野に学びけり

雨筋が透きを埋める枯野かな

生き急ぐ息を冬野に鎮めたる

テキスト版 投稿作品 十月知人 聖家族

 聖家族 十月知人

隙間風河馬にこわされ歌になる

冬の蝶ねぐらは昨日の奥の方

砂時計の砂掘るうちは少女ね

双頭の蛇はっきりと兄と姉

さびるだけさびて鎖は父の土地

針刺しの針を数える誕生日

白熊の剥製寄り切る謎解ける

鼓笛隊見失うとき国境は冬

文旦の帝王のまま年を越す