雪 中 石川順一
雪の中カートは白きテロに遭う
灰色のカートが雪の中でテロ
激走が雪の中では歩き出し
軽量のカートの脚に吹雪けり
真夜中に雪の落下の音を聞く
吹雪く時神の怒りが爆発し
軽量のカートに雪の重みかな
完全な神の怒りは雪の中
もし今が永遠なれば雪の中
吹雪く中神の怒りを知悉する
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咳 真鍋修也
クリスマスイブや仲間の底話
仕事終へがらんと白き咳始め
食積やしばししばしの惑ひ箸
幾度目の入院なるや山眠る
白い影これが肺炎咳の本
延びにけりペースメーカー交換日
点滴にぽたり呟く若菜かな
人日や点滴一架客来る
病人の汁粉に餅なし鏡割り
双六や弄ばれる上り前
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風 葬 赤間学
藁にほや農婦の奥の雲眩し
父のこゑありて新年明けにけり
海に石投げる工事や船うらら
鶏を潰しにゆくや冬の川
凍空へもっこの土を下しけり
津軽平野の凍てつゐて三四人
縄文人の骨の飢餓線冬銀河
ぼたん雪狼いまもゐるごとく
木の実張る全山いよよ風の中
草萌や大河は空に蛇行せり
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2011-02-27
テキスト版 201号投稿作品(石川順一 真鍋修也 赤間学)
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