ふおんな春たち 十月知人
ていねいにつまそぎ落としつまを抱く
女優らのくちぶえはひらがなあげはちょう
おるがんのさばよみの国のアーチ
はっぽうのじゅふんうらぎる友はなし
よるはねるもなかのさなかのヘルメット
はるはんし四畳半襖の母の地図
あけていくポルノのさいてんオクトパス
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土 筆 澤田和弥
ポンポンの籠に散りたる土筆かな
(※ポンポン:バイクのカブを指す遠州弁)
土筆摘む父と初めて知りにけり
土筆摘むとき母悲します父にあらず
さつと醤油土筆煮詰めてゐる無言
摘みて煮て食ふて土筆が糞となる
一本の土筆落ちをり父の跡
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日出国 園田源二郎
野良犬の嘆息地表を温めり
人間傷み禽の眼曇り木々歪む
近未来魚眼レンズにたゆたへり
木魚割れ燈明猛り猫嗤ふ
人間の環の只中に居て骨軋む
賛美歌の音階狂ひて地下の春
御佛の腋下に宿る星数多
花々の不浄や獣の眼は闇し
祖母語る脈絡の無き地獄かな
かくれんぼ異形の佛の紛れをり
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春はあけぼの 赤間学
御統の玉貫ゐて寒昴(みすまるのぎょくつらぬいてかんすばる)
寒鯉の曳きづる闇の深みかな
二・二六声変はりして失踪す
亀鳴くや海より出でし潜望鏡
大人てふ迷ひ子をりし遍路かな
江戸は庭園都市海に椿咲く
一筋の光となりし雪解川
春はあけぼの人類といふ獣をり
水道管枝分れして春の空
水門の曳き上げらるる鳥雲に
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2011-03-27
テキスト版 投稿作品(十月知人 澤田和弥 園田源二郎 赤間学)
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