2011年新年詠(2)テキスト版
書き置きに雑煮のことも触れてあり 青島玄武
鳩が出るかと重詰を開きけり 青山茂根
掃除機の腹にサファイア去年今年 赤羽根めぐみ
正直に申せば不服初写真 小豆澤裕子
篝火のもとの真闇の年始かな 天野小石
年賀状持って社内をうろうろする 石原ユキオ
水槽をまぐろが泳ぐ四日かな 今村恵子
てのひらで洗ふ石鹸去年今年 今村 豊
暗き場所厨に残し女正月 宇志和音
水のせて鯉の浮きたる初詣 太田うさぎ
初読のそれも句帖よこのクチョウ 大塚めろ
福達磨蛍光灯を眩しがる 岡田由季
ローファットミルク初刷のよく冷えて 尾上恵子
見物のしろうさぎ湯気上がりけり 岡村知昭
初夢にきつねうどんときつねさん 小川楓子
初明り遥かの海を感じつつ 小沢麻結
老木の名を父に訊く初詣 金子 敦
歯を磨くコップの中も初日かな 川崎千鶴子
A面よりB面が好き初鏡 川崎益太郎
長し長しボートハウスの竹飾 菊田一平
だだだごごごご飛ばされゆきし去年 北川美美
椰子二本門松代わり羅府ラララ 句童ぐみ
防水の中也詩集と初湯かな 栗山 心
四方拝ろくでもない人生です 小林苑を
光るもの転がつてゐる御慶かな 近 恵
七草や使はれずある八頭 斎藤悦子
受領印押し年玉もらふ社長より 榮 猿丸
鳶の輪の高さと思ふ初御空 榊 倫代
初夢の残れる指を組みかへて 阪西敦子
牛に舐められぬ間合に初雀 鈴木牛後
初東雲外輪山を川曲る 瀬川剛一
はなびら餅句会の前のストレッチ 関根誠子
はればれと七草粥の膳につく 高浦銘子
わが浮力信じてをりぬ初御空 田中亜美
元旦の母が受話器の向こう側 月野ぽぽな
お元日もうすぐ百の祖母かこみ 津田このみ
年の夜をたどりぬ壁に沿ひながら 鴇田智哉
三毛猫の毛のふかふかとお元日 中嶋憲武
四日かな散歩の音はてくてくと 中塚健太
薺爪つむやよく鳴く海の鳥 中村 遥
デコちやんの映画見ながら年酒かな 猫髭
正月はいややきらいや宴酣 野口 裕
鏡餅火星はいつも上にある 野木まりお
独楽強く廻れ東京傾くまで 能城 檀
初夢の空白子規をもて埋める 橋本 直
陸橋へ出て初空を渡りけり 羽田野 令
初空や硬貨は胸に花は手に 浜いぶき
初春や夢は見るもの跳ねるもの 林 阿愚林
飽きもせず妖怪かるた拾ひけり 日原 傳
初空に赤玉ポートワインかな 廣島屋
初寝覚初湯初口付けなど初で 藤枝一実
七草を供されてゐる春画かな 藤 幹子
浦賀水道上空を飛ぶ旅はじめ 細川洋子
三日はやエクセルをたち上げてゐる 松尾清隆
人類の半分女初鏡 松野苑子
駅伝の最終ランナー梅ひらく 真中てるよ
年の端の鷹師にかかる鷹が息 満田春日
松過ぎの松に曙光のきてをりぬ 村上瑪論
元日にゆふぐれのあり手足あり 村越 敦
甘酒にほつり雪光る 矢野風狂子
鶏ガラの初荷の届く来々軒 山崎志夏生
粧ひを武装と思ふ初鏡 雪井苑生
御降を見上ぐる後首の肉 渡戸 舫
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2011-01-09
2011新年詠(2) テキスト版
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