2011-01-30

〔超新撰21を読む〕種田スガルの一句 野口裕

〔超新撰21を読む〕
切れない電話
種田スガルの一句……野口裕


カラ返事のみ 母からの電話に足裏の皮むく  種田スガル

体質なのだろうか、自由律なら短律が好み。そんなに沢山読んだわけでもないが、長律の句は、冗長に見えて仕様がないことが多い。種田スガルの句も、私にとっては同様の傾向があった。ただ、種田山頭火の親戚になるということが冒頭に書かれてあるので、

  母の慈愛降り積もりて 発狂す多摩川べり

  先祖の句碑探しあて 変われど変わらねど自分

というような句もそれなりに楽しめる。


山頭火が女だったら、という発想が下敷きになっているようだが、親と子の関係は、山頭火とは異なる。しかし、本人にとって切実な問題のようで、しきりと母が出てくる。父は不在。

上掲の句が、一番具体的なイメージを形作る。

耳から侵入してくる命令形の言葉の数々。防御機能としての発語、そして感情表現としては無力な身体行動。

電話くらい、さっさと切ればよさそうだが、他人からは窺い知れない軋轢があるのだろう。


『超新撰21』・邑書林オンラインショップ

0 コメント: