林田紀音夫全句集拾読 153
野口 裕
さくら綻びて冥府の夕まぐれ
天辺に鬱々とさくらのその十字架
花びらのさくらの空の悪積もる
青空のさくらの下を死の刻過ぎ
ほつほつとさくら灯る神隠し
さくらへ降る日のすこやかな水滅び
茫々とさくらの夜空ひとりの喪
老残の鬱とさくらの夜のとばり
昭和五十年、未発表句。六句連続して書き、何句か離れて残り二句が書かれている。「桜」でなく、「櫻」でもなく、「さくら」にこだわっていることは明らか。これだけ書いて、昭和五十年から昭和五十五年までの発表句にさくらの句なし。
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2011-02-20
林田紀音夫全句集拾読153 野口裕
Posted by wh at 0:24
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