林田紀音夫全句集拾読 154
野口 裕
句碑は、いりません。口碑で結構です。
花曜に所属していた人から、紀音夫がこんな事を言っていたと酒席で最近聞いた。句碑を建てようかという話を断ったときのことらしい。エピソードとして面白いので記録しておく。
風呂敷につつむ訣れた海の夜
昭和五十年、未発表句。以前に、「風呂敷を結ぶ水平線消して」(昭和五十四年「海程」)を取り上げたことがあった。それの先行句であることは明らか。
風呂敷の句が、他にないかとフライングして調べてみると、昭和五十一年未発表句に「風呂敷を結ぶみずうみ雨けむり」。年月をかけ、具象から抽象に変貌してゆく様が読みとれる。
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筍の竹になる雨竹の音
昭和五十年、未発表句。雨の句で、向日性というのも変な表現だが、そう言いたくなるような明るさをたたえた紀音夫には珍しい句。ただ、本人は同じ音が繰り返されるような句想は好まないはずだ。思いついたから書きとめた、というところか。
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2011-02-27
林田紀音夫全句集拾読154 野口裕
Posted by wh at 0:05
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