〔祐天寺写真館・メキシコ篇〕
黒猫
長谷川裕
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とにかくどろぼうが多いです。
お金持ちであることを隠そうとするお金持ちはいません。俺は金持ちだ! 文句あるか、貧乏人め! さあ、いつでもやってこいというノリなんです。
そんなわけで大邸宅は高い塀に鉄条網をめぐらし、おそろしく分厚い門を構える。当然、警報装置も設置している。そして、たいてい銃器で武装したガードマンを雇っています。でもだめなんです。そのガードマンが情報を漏らし、合鍵を作ってどろぼう仲間を引き入れたりするから。
また、女中さんには嫌われないようにしないといけない。小銭をちょろまかしたとか、冷蔵庫の中のものを盗んだなどと、細かなことでいちいち叱ってはいけません。愛人にそそのかされ、どろぼうの手引きをしたりなんてのはよくあることです。
まあ、大邸宅に住んでいらっしゃる方々は、とてつもなく儲けている合法的な大どろぼうというケースが多いので、そんなことは多少の必要経費と割りきっていらっしゃるようです。
今日もどろぼう猫がするりと鉄条網をすり抜けていきます。
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