2011-05-29

林田紀音夫全句集拾読166


林田紀音夫
全句集拾読
166





野口 裕



釘抜きのはみだすときは鋼いろ


昭和五十一年、未発表句。釘抜きで古い釘を抜くときに、錆びついた釘の頭からは想像できなかった鋼色が出てきた、というような意味合いの句。おそらく、トリビアリズムとして一顧だにされなかっただろう。しかし、こういうのを好きな読者もここにいる。おそらく、紀音夫の封印した一面。


欲後すぐ葡萄酒の赤身に流す

昭和五十一年、未発表句。これまた、紀音夫調ではあるが、紀音夫とは想像しにくい句。当時、五十一、二歳。こんなこともあったなあ、という回想句か。

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