〔週俳6月の俳句を読む〕
きわめて具体的に。
鴇田智哉
梅雨暗く根菜類を唐揚に 生駒大祐
(生駒大祐「しらたま」より)
もちろん、梅雨、が主語ではないのだが。
つまり、梅雨さんが、根菜類を唐揚にしている、というわけではないのだが。
俳句は短いから、そうしたことを、頭によぎらせながら読むことができる。
よぎらせながら、遠ざけながら、ごぼうとか何とか、そんなことを考える。
そうしているうち、この句から梅雨というものが、立体的に感じられてきたのだった。
それからこの句、語感がいい。
郭公や水切りかごに皿が立つ 村上靹彦
(村上靹彦「海を見に」より)
この皿が、白、だと思えるのは、なぜだろう。
それはきっと、郭公や、といわれた瞬間に、あるリズムが生まれるからだ。
そのリズムは、単に言葉のリズムというほかに、風景のリズムだ。
私には、白い楕円が二つほど、ふっと立って見えた。
きわめて具体的に。
第215号 2011年6月5日
■生駒大祐 しらたま 10句 ≫読む
第217号2011年6月19日
■村上鞆彦 海を見に 10句 ≫読む
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2011-07-10
〔週俳6月の俳句を読む〕鴇田智哉
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