2011-07-10

〔週俳6月の俳句を読む〕鴇田智哉

〔週俳6月の俳句を読む〕
きわめて具体的に。

鴇田智哉


梅雨暗く根菜類を唐揚に  生駒大祐
(生駒大祐「しらたま」より)

もちろん、梅雨、が主語ではないのだが。
つまり、梅雨さんが、根菜類を唐揚にしている、というわけではないのだが。

俳句は短いから、そうしたことを、頭によぎらせながら読むことができる。
よぎらせながら、遠ざけながら、ごぼうとか何とか、そんなことを考える。
そうしているうち、この句から梅雨というものが、立体的に感じられてきたのだった。

それからこの句、語感がいい。


郭公や水切りかごに皿が立つ  村上靹彦
(村上靹彦「海を見に」より)

この皿が、白、だと思えるのは、なぜだろう。
それはきっと、郭公や、といわれた瞬間に、あるリズムが生まれるからだ。
そのリズムは、単に言葉のリズムというほかに、風景のリズムだ。

私には、白い楕円が二つほど、ふっと立って見えた。
きわめて具体的に。



第215号 2011年6月5日
生駒大祐 しらたま 10句 ≫読む
第217号2011年6月19日
村上鞆彦 海を見に 10句 ≫読む

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