2012-02-19

〔週俳1月の俳句を読む〕伊達浩之

〔週俳1月の俳句を読む〕
人骨格の正しい句

伊達浩之


ものの影ものをはなれてゆく初日  仲寒蝉

日に照らされて「影」が生じるのではない。日が昇ることで、陰陽混然とした世界から天地が分かれてゆく。「もの」という抽象的な表現に「初日」がぴたりとあっています。骨格の正しい句だと思います。

「新年詠」はそれぞれ興味深く拝読しました。形式的に冒険している句も面白かったのですが、やはり中身の濃い句に惹かれました。


人間に表と裏と日向ぼこ 雪我狂流

中原道夫の「天使魚の愛うらおもてそして裏」を思い出しました。人に裏表があるのは当たり前ですが、日向ぼこのあっせんが楽しい。餅のように両面をまんべんなくあぶっているのでしょう。


風花や遊具は海の真向かひに 松本てふこ

「遊具」は「海を見晴るかす大観覧車と読みたい」という鑑賞がありました。それも素敵ですが、私は一読「ブランコ」「ジャングルジム」などを思い浮かべました。人ひとりいない寂しい砂浜でしょうが、「風花」の明るさと美しさが印象的です。


第245号 2012年1月1日
生駒大祐 うしなはれ 5句  ≫読む
村田 篠 水鳥 5句  ≫読む
上田信治 ご町内 6句  ≫読む
西原天気 胸ふかく 5句  ≫読む

第246号 2012年1月8日
特集・新年詠2012  ≫読む  ≫読む  ≫読む  ≫読む  ≫読む  ≫読む

第247号 2012年1月15日
谷口智行 初 暦 7句 ≫読む
小林千史  7句 ≫読む

第248号 2012年1月22日
雪我狂流 日向ぼこ 7句 ≫読む
依光陽子 涯 hate 7句 ≫読む
矢口 晃 蝌蚪は雲 7句 ≫読む
山下つばさ ぱみゆぱみゆ 7句 ≫読む
福田若之 既製品たちと歌ううた 7句 ≫読む

第249号 2012年1月29日
望月 周 冬ゆやけ 7句 ≫読む
林 雅樹 紛糾 7句 ≫読む
松本てふこ 遊具 7句 ≫読む
野口る理 留守番 7句 ≫読む


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