2012-09-23

後記+プロフィール283

後記 ● 上田信治

ご覧の通り、今号もすばらしくボリューミーです。たぶん、一度のご訪問で読み切れる量ではない。ちょっと飲み物を飲んだり、なにかをつまんだりというタイミングで、何度でも覗いてみてください(たぶん、一週間楽しめてしまうかも)。

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 大野秋田さんの「文法外の文法と俳句の文語 前編」は、「助動詞『し』の完了の用法」に続く、俳句で問題となる文語の用法の検証。たいへんな労作です。

「言葉は百年も使われ続ければいかなる誤用も正用となる」は、立ち返るべき大常識ではないでしょうか。

後編も必読。

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「句集を読む」のシリーズ、新刊だけではなく、ちょっと意外な句集も登場します。

前号の村越さんの『中肉中背』といい、今号の藤田さんの『真名井』といい(加倉井秋をの『胡桃』『午後の窓』ではなく、というのが、またなんとも)。

もちろん、ほやほやの新刊へ向けられた「紅茶の中に日が射す。どうということのない数センチの景色。しかし、あの光の感じは、紅茶の中でしか起こり得ない」あるいは、「境界とは(…)平たく言えば、「何かが起こっている」部分である。(…)それに意識的な作者にのみ、俳句で「何かを起こす」ことができる」といった評言にも、いちいちこくがあり。

もちろん俳句作品も(たぶん、一週間以上、楽しめてしまうかも)。

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それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。



no.283 /2012-9-23 profile

■山口昭男 やまぐち・あきお
1955年、兵庫県生まれ。「秋草」主宰。
句集『書信』(2001年)、『讀本』(2011年)。

■金子 敦 かねこ・あつし
1959年神奈川県生まれ。1985年作句開始。「門」「新樹」を経て、現在は「出航」会員。1996年第一句集『猫』上梓。1997年第11回俳壇賞受賞。2004年第二句集『砂糖壺』上梓。2008年第三句集『冬夕焼』上梓。2012年第四句集『乗船券』上梓。EPO法人未来塾俳句教室講師。俳人協会会員。

後閑達雄 ごかん・たつお
1969年生まれ。2007年「椋」入会。2009年、句集『卵』。現在いろいろな賞に挑戦中。
■大野秋田 おおの・あきた1949年生まれ。2008年作句開始。2009年「澤」入会。2012年「澤」新人賞。

■関悦史 せき・えつし
1969年、茨城生まれ。第1回芝不器男俳句新人賞城戸朱理奨励賞、第11回俳句界評論賞受賞。「豈」同人。共著『新撰21』(邑書林)。URL:http://etushinoheya.web.fc2.com/(管理人は別人) URL:http://kanchu-haiku.typepad.jp/blog/(句集紹介用ブログ)

■松尾清隆 まつお・きよたか
1977年神奈川県生まれ。「松の花」同人。


■藤田哲史 ふじた・さとし1987年、三重県生まれ。2009年、澤新人賞受賞。共著に『新撰21』。2010年、俳句雑誌「傘[karakasa]」を発刊。2011年、生駒大祐と音声映像配信企画「Haiku Drive」をスタート。

■生駒大祐 いこま・だいすけ
1987年三重県生まれ。「天為」「トーキョーハイクライターズクラブ」所属。「東大俳句会」等で活動。blog:湿度100‰

■三島ゆかり みしま・ゆかり
俳人。1994年より作句。 http://misimisi2.blogspot.com/

■小川春休 おがわ・しゅんきゅう
1976年、広島生まれ。1998年「童子」入会。2009年「澤」入会。現在「童子」同人、「澤」会員。句集『銀の泡』。サイト「ハルヤスミ web site

■馬場龍吉 ばば・りゅうきち
1952年新潟県生まれ、東京都在住。第49回(2004年)角川俳句賞受賞。俳句誌「蒐(syuu)」編集・発行人。俳俳本舗BBS=http://8214.teacup.com/haiho/bbs

■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」(小池正博・野口裕)完結しました。最終号は品切れですが、第一号から第四号までは残部あります。希望の方は、yutakanoguti@mail.goo.ne.jp まで。進呈します。サイト「野口家のホーム ページ

西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。「月天」同人。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。ブログ「七曜堂」 twitter

■上田信治 うえだ・しんじ 
1961年生れ。「ハイクマシーン」「里」「豆の木」で俳句活動。共著『超新撰21』(2010)。ブログ「胃のかたち

 

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