2013-11-03

2013落選展テキスト 16光○追う人 吉井 潤

16 光○追う人 吉井 潤

初明かり磁器を透かせばミルク色
囀りの影横切って水浅葱
掬いたき留めてみたき春の星
春光も混ぜてカオリン乳鉢に
時報音現に戻す春の朝
風光る信号変わるたまゆらに
春の虹色探しつつ加速する
昼休み春色愛でし一人飯
窓枠で菜の花色は額の中
春夕日振り撒く破片踏みそうに
石ころや春光浴びて目を射抜く
駆け寄って拾い上げたる春の月
光る風創れるならば明日死すも
持ち帰る春の光は石くれに
春光の記憶綻び朽ち果てる
春ともし夢中で向かう轆轤台
息詰めて印刀の角冴返る
追いかけし形再び朧なり
手が止まる刻々と過ぐ短夜に
内と外その境目にシャボン玉     
春めきてクラフトフェアーいよいよと
春の服ブローチ選ぶ若夫婦
テント村客足鈍る花曇り
春時雨駆け込む客が二つ買い
白木蓮降るやパラフィン包みにも
永き日やカロリーメイト昼食に 
交流会菜飯白飯おにぎりで
作り手の苦労話や春の宵
花冷ゆる作家と呼ばれ赤面し
新しき自分が見たし椎若葉
作品か商品か否深き春
山笑うまずは自分が好きなこと
がらくたに春の怒濤を見つけたり
好きなモノぽかんとふわり春の雲
ギリギリで人が気づかぬ春星も
春塵を被る軽トラ帰り道
春の闇ヘッドライトを包み込む
ゆく春の砂混じりなるシャツの袖
寝静まる屋根黒々と夏近き
荷ほどきをしつつ落ちたり春の夢
時報音夏めく朝に結びつけ
水飯や父母は寡黙に掻き込みぬ
庭花火好きに生きたし好きに消え
トンボ玉覗けば朱夏のただ中か
油照り三原色は真白なり
淡きモノ見つけ出さんと氷水
夏の日や光あふれて我を食う
虫送り蠢く我ものせてくれ 
秋風にしらじら冷えし白磁壺
狂うなら光少ない冬日かな


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