林田紀音夫全句集拾読 292
野口 裕
翼燈も星にくわえてクリスマス
平成四年、未発表句。気軽な「も」の使用からもわかるように、思わずできあがった五七五だろう。軽快さが夜景の鮮やかさに見合う。
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年の瀬の人の背旅の途中に似て
平成四年、未発表句。「の」の連続、「瀬」と「背」の同音、「に似」の連続音など、音遊びのような趣。五七五を、意識の支配下に置くことを忘れて、思わずできてしまった句だろう。年の瀬らしい。
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年改まる川幅を水が行き
平成五年、未発表の先頭句。未発表句だから、その集積は当然日記の役割をも兼ねる。時の流れを表す水は方丈記以来の発想ではある。水の流れが生み出す川幅が、逆に水を通す通路となるところに、多少のひねりがあるにせよ、何でもない句ではある。しかし、日記の役割としては、書いておかないといけない句というものがある。業と言うよりは日課であろう。
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2013-11-24
林田紀音夫全句集拾読 292 野口 裕
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