【週俳4月の俳句を読む】
女子 元気
玉田憲子
鶯や倒木のほのあたたかく 川嶋一美
木は死んでもたくさんの栄養を持っているので、そこに落ち根を下ろした種子たちは、倒木の栄養をもらいながら、ゆっくりと大木に生長していくそうだ。
この句は、自然の営みや命に対する深い思いを感じさせてくれる。
人間は、何時から自然の営みに感動するようになったのだろうかとふと思った。
自分たちの生活そのものが自然と一体だった頃、そのごく当たり前のことに感動などしたのだろうか。
家鳴りがして靴下に春の闇 近 恵
時として、「この家には何か棲みついているものがいるのでは」と思ってしまうような家鳴りが発生する。木造家屋なのだから科学的に色々説明できるのだろうが、妄想の世界もまた楽し。
女子の靴下の中の闇は可愛らしいけれど、家の中には恐ろしげな闇もいっぱい。
生者たる証風船ひとつ割る 近 恵
きつと捨てる風船ひとつ購はん 野口る理
この風船たち、もしかして「男子」では? と思ったのは私だけだろうか。それも草食系。
女子元気!
栃木にて春闌の二三日 西村麒麟
ちょうど、私も栃木に行って帰ってきたところだった。
田中正造生家のボランティア、栃木市の蔵や街中の人々。皆お人柄のよいこと。そしてその中に一本芯の通っていること。何人かの栃木出身の私の句友にも言えることだ。
同行者が珍しく的確な(?)表現をした。「すれていない」
電球のかたちを濡らす春の雨 木田智美
春の雨こそ電球の「かたち」を濡らすのにふさわしいのでは。
かたちから入ると言うけれど、かたちは大事かと。
その部屋の匂ひとなりて春の宵 山下舞子
何の匂いもしなかった部屋も、すっかり私の匂いに染まってしまった。
最早全てが私に絡めとられてしまったのだ。もう全部私のもの!満足、満足。
第363号 2014年4月6日
■川嶋一美 あゆむ 10句 ≫読む
■近 恵 桜さよなら 10句 ≫読む
第364号 2014年4月13日
■西村麒麟 栃木 10句 ≫読む
■野口る理 四月10句 ≫読む
第365号 2014年4月20日
■曾根 毅 陰陽 10句 ≫読む
第366号 2014年4月27日 ふらここ・まるごとプロデュース号
■山本たくや 少年 10句 ≫読む
■仮屋賢一 手紙 10句 ≫読む
■木田智美 さくら、散策 10句 ≫読む
■山下舞子 桜 10句 ≫読む
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2014-05-11
【週俳4月の俳句を読む】女子 元気 玉田憲子
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