2014-06-01

【八田木枯の一句】熱さめて虹のうぶ毛のよく見ゆる 西原天気

【八田木枯の一句】
熱さめて虹のうぶ毛のよく見ゆる

西原天気



高熱に苛まれて、心身が憔悴。やがて熱がひき、回復へと向かう。そのときの神経が妙に研ぎ澄まされた感じは、かつて経験したような気がします。

熱さめて虹のうぶ毛のよく見ゆる  八田木枯

虹はたいてい、絵に描いたようにくっきりと明確ではない。縁に産毛を生やしたような、やわらかな質感があります。


熱がさめる。それは大げさにいえば「再生」です。その瞬間、虹のすみずみが見えた。

視覚に関するモチーフでありながら、きわめて皮膚的な感応になっています。

いつかの遠い過去の出来事のようでありながら(子どもと高熱はセット)、妙に身近な感覚にも思えてきました。

掲句は『汗馬楽鈔』(1988年)より。



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