【八田木枯の一句】
熱さめて虹のうぶ毛のよく見ゆる
西原天気
高熱に苛まれて、心身が憔悴。やがて熱がひき、回復へと向かう。そのときの神経が妙に研ぎ澄まされた感じは、かつて経験したような気がします。
熱さめて虹のうぶ毛のよく見ゆる 八田木枯
虹はたいてい、絵に描いたようにくっきりと明確ではない。縁に産毛を生やしたような、やわらかな質感があります。
熱がさめる。それは大げさにいえば「再生」です。その瞬間、虹のすみずみが見えた。
視覚に関するモチーフでありながら、きわめて皮膚的な感応になっています。
いつかの遠い過去の出来事のようでありながら(子どもと高熱はセット)、妙に身近な感覚にも思えてきました。
掲句は『汗馬楽鈔』(1988年)より。
2014-06-01
【八田木枯の一句】熱さめて虹のうぶ毛のよく見ゆる 西原天気
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