【週俳6月の俳句を読む】
この少しの傾き
山下彩乃
父の日を埋める白魚集まりぬ
「六月ノ雨」 髙坂明良
白魚は白いイメージだけれど、泳いでいる姿は透明らしい。涙であふれた視界のように、ぼんやりしている父の日をみた。
お手本をなぞると猫が濡れている
「お手本」 原田浩佑
お手本というと書道。正座をして息を吐いたとき、ふと窓から庭を見た。
この猫はきっと濃いグレーの猫だ。墨汁を含んだ筆みたいに。
届かない深さにこたへ青銀杏
「六月の日陰」 井上雪子
青銀杏から、高さではなく「深さ」にしているのがよくわからず、ひかれた。
空が、際限なく深いこととして。
パラソルの陰を半分もらいけり
「夏岬」 梅津志保
パラソルを貸してもらうとか、それが相合傘であるとか、そんなことではない。陰を半分だけもらっている。この単純な、すこしの傾きに行き着くことが難しい。
第371号 2014年6月1日
■陽 美保子 祝日 10句 ≫読む
第372号 2014年6月8日
■髙坂明良 六月ノ雨 10句 ≫読む
■原田浩佑 お手本 10句 ≫読む
第373号 2014年6月15日
■井上雪子 六月の日陰 10句 ≫読む
第374号 2014年6月22日
■梅津志保 夏岬 10句 ≫読む
第375号 2014年6月29日
■西村 遼 春の山 10句 ≫読む
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■陽 美保子 祝日 10句 ≫読む
第372号 2014年6月8日
■髙坂明良 六月ノ雨 10句 ≫読む
■原田浩佑 お手本 10句 ≫読む
第373号 2014年6月15日
■井上雪子 六月の日陰 10句 ≫読む
第374号 2014年6月22日
■梅津志保 夏岬 10句 ≫読む
第375号 2014年6月29日
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