2015-01-04

週刊俳句 第402号 2014年1月4日

第402号
2015年1月4日


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2015新年詠  (ほぼ御投句順)


≫縦書き

鏡餅歯科医師レジスターを打つ   瀬戸正洋
トイレットペーパーを繰る去年今年 鈴木茂雄
焼夷弾吊り上げてゐる初景色    谷口智行
子が二人木菟の声深きより     花尻万博
蛸壺の口の揃ひし恵方かな     山口昭男
昆布噛めば鰊現れおらが春     岸本尚毅
にんげんにふぐりあること初笑  松本てふこ
ペンギンは歩く初日のど真ん中  山本たくや
「ひ」め始め「つ」まは我より「じ」ゆう人 塩見恵介
門松のみどり神の在り処      赤間 学
呼び名与えよ若水に若潮に    五十嵐秀彦
裏白や岬は空をつらぬけり     五島高資
金銀の碗を送りて初茶の湯     山西雅子
初空や裏表紙だけ燃え残り     今井 聖
煙突のけむりの下の初湯かな    清水良郎
 

2015.1.1
AとBと並ぶCとの初ライブ   矢作十志夫
新年が大きな口をあけて待つ    小林苑を
肉が刃を離さぬ気概大旦      辻本鷹之
初明り(なに様だよお前)と俺   佐山哲郎
初夢の底やわらかく踏みはずす  月野ぽぽな
ゴジラたちと明日をみている初日の出 片岡義順
電線の朝日にたわむ初景色     中西亮太
大縄跳び初富士を入れ海を入れ   広渡敬雄
歳神の息にかがやか畳の目     中村 遥
二日はや僕のかたちの肌着かな  竹内宗一郎
すこやかに腹減つてきし千代の春 齋藤朝比古
しんいちの結末ほどのさんなすび  月波与生
サラブレットすぐそばにゐて年を越す 森 光葉
基督の釘深からん初明り      曾根 毅
絵馬揺らぐ高さやうやく埋まりけり 三島ちとせ
からまつは縦に美し初茜      南十二国
読み初めの森にみづ色の土地神   藤 幹子
地球儀に地球の埃初昔       常盤 優
ニッポンのごまめの白き目は泪   村嶋正浩
亀も来よわが万年の床の春   ハードエッジ
新春や点滴の手を握りしめ     後閑達雄
曲独楽のきつ先のぼりつめて跳ぶ 五十嵐義知
ベツレヘムに巨きな目がある裸木  宇井十間
新玉のmailのメーも御慶かな     高山れおな
初笑どつと起こりぬ壁の中    津川絵理子
除雪車が来る 2015.1.1に     徳田ひろ子
新暦三箇所時計五個私室    小久保佳世子
初夢の鳥よトシヨリコイと鳴く   青木空知
湯のなかに亀石のある淑気かな   小池康生
金箔のちらちら浮きし福茶かな   鈴木不意
金竿のがつんと鳴りぬ初颪     野口 裕
七草のみるみる母に刻まるる    加藤御影
グールドの唸り溶けざる淑気かな トオイダイスケ
ロボットめくギプスの腕や大旦   三浦 郁

2015.1.2
咲くほどに僧居に似たる二日かな  小津夜景
南方に初花火あり火薬なり     橋本 直
人日や二つにひとつばかりを問ふ  森賀まり
雲ひとつ千切り雑煮に浮かべけり  青柳 飛
新日記の上にスマホもペンも載る  興梠 隆
てのひらに遠き手の甲年明くる   山田露結
元旦の雷元旦の山濡らす     しなだしん
羊日の人魚と来たらノックして   小川楓子
エレベータ上つて下りて年の夜   杉原祐之
狼になるまへの犬春襲       彌榮浩樹
輪飾の隣に小さき星のあり     涼野海音
セーターを抜け新しき年の顔   遠藤千鶴羽
夫淹るる珈琲熱しお元日      岩上明美
御降や日輪仄と見えながら     今井肖子
身籠れる賀客来りて宴闌     淡海うたひ
大楠を紀伊大王と呼ぶ淑気     堀本裕樹
繭玉を見に来ると言ふ男あり    茅根知子
初夢のムー大陸に行つたきり    松野苑子
自爆せし少女のごとく福笑     内藤独楽
 初空や名のある坂をゆつくりと   塩見明子
太陽(ひ)の貎がきのうのかおと異うのよ 金原まさ子
初忘れものはメガネとパートナー  紀本直美
天地のあはひに生きて初明り    熊谷 尚
初風の枝分かれして団地群     滝川直広

2015.1.3
鏡餅しんしんと杉立ち並び     村上鞆彦
数の子をくれるゴーストライターたち 岡本飛び地
地下鉄道みんな喪中じゃないんだね 佐藤文香
初夢の何処かにこども置いてきぬ  榊 倫代
昨年の枯葉の積る春の坂      上野葉月
元日や重き新聞立つる音      西村小市
大服やかへりみすれば只渺茫   利普苑るな
重箱を泡に放りし二日かな    小早川忠義
断捨離と勿体無さの二日かな      灌木
初冨士へ昇るスケルトンエレベーター 石原 明
元日の犬吠え合って暮れにけり   四ッ谷龍
トレンドはまた太眉や初鏡     栗山 心
初鏡わたしと私鬩ぎ合ふ      藤崎幸恵
しあはせと問はれてをりぬ狼に  照屋眞理子
一息にシャッター開ける初御空   鈴木牛後
初夢やドーナツの輪を潜り抜け   金子 敦
少年の素振りは止まず初雀     吉川わる
守りたき山河見定むお元日     小野裕三
紅白の餅がいちゃいちゃ網の上   高橋透水

おほいなる昼月のぼる二日かな   谷 雅子
静岡は良いところなり初笑     西村麒麟
双六の箱根山にて抜きかへす    菊田一平
塩つまむやうにめくりし初暦    鈴木健司
初御空鼓膜の痛くなつてきし    柏柳明子
のどかさの顔から顔へ欠伸かな   兼城 雄
初富士の雲の影なり蒼くあり    押野 裕
屠蘇に酔ひ少女の胸の膨らみぬ  高橋亜紀彦
光る雲光降らせて初山河    すずきみのる
初夢の巨人渋谷に現れよ      高柳克弘
しづまらぬ一点のあり雑煮椀    阪西敦子
日の丸を軍旗とすまじ初日の出   鳴戸奈菜
群れ立つペンギン替えた電球を試した 福田若之
御降りの純白に夜の明けにけり   日隈恵里
鼻が少し残念でしたゆきおんな   宮崎斗士
正月のいたるところに貼つてある 嵯峨根鈴子
御降や御門かたれば訓詁学     赤野四羽
階段の母の足音寝正月      河野けいこ
羊来て蜂蜜色の三が日     赤羽根めぐみ
輪飾が閉じつぱなしのシャッターに 林 雅樹
白き鳥淑気乱さず羽ばたけり    藤井南帆
列島砕きつ惑星大の宝船      関 悦史
膝上に聞く満洲や七種粥      中山奈々
雪降る元旦に甥の顔姪の顔    馬場古戸暢
絵に描いたやうな二世帯初筑波   岡野泰輔
放たれて独楽の宇宙が回りだす   川越歌澄
一列にされひねもすを羊かな    山田耕司
凍て河に花火の骸や淑気満つ    村越 敦
初鶏やヌナカワヒメの胸の玉    小澤 實
白息や「ジャムおじさん」の描きをはり 中原和也
観覧車二日の街のあはきこと    石井薔子
初凪やソーラーパネル多き街    小林鮎美
筋肉ののびてちぢんではや三日  笹木くろえ
靴履くや元日の雪降りやまず    岡村知昭
川の字の床より仰ぐ初御空    西山ゆりこ
双六を司る手のきらきらす     黒岩徳将
群羊の幸あるごとし初句会     山﨑百花
初凪の鴨にまじりて鳰      対中いずみ
元日を愚てふ子規をり生き急ぐ   小林千史
元日の午後の釣堀こみあへる   前北かおる
火の鳥にタレの香りや寝正月    澤田和弥
ぼろぼろの投扇興の畳かな     堀下 翔
初髪や素足と下駄はひとつづき   下坂速穂
鐘が鳴る方へ歩きぬ初詣      依光正樹
物と物触れ合はずある淑気かな   依光陽子
目の前で烏賊がのされてゆく淑気   近 恵
西川羊毛蒲團恐ろし今朝の春    閒村俊一
駅伝中継観てる場合か あっ雪の富士 池田澄子
無神論者もお神酒が嬉し初詣    渕上信子
何もせず座ってをりぬ初電車   服部さやか
お降りのはじめは鳥のやうな息   渡戸 舫
たましいはぶつかりあって鏡餅   原 知子
お降りの糸散らばつてゐる東京  宮本佳世乃
水を呑む音の聞こゆる歌かるた   田中惣菜
呑み込むにいま丁度よき初没日   関根誠子
杉青くセロリはみどり今朝の春   田中亜美
初富士や二軍のマウンド一文字   川里 隆
口のみがまるでいきもの寝正月   今野浮儚
初湯殿ぷかりと小さき野心かな   久才秀樹
犬居らぬ小屋真つ先に初日浴ぶ   玉田憲子
買初や一括払ひにて済ます     三村凌霄
東雲やわらかに陽のそこかしこ     琳譜
年玉の袋ミッキーマウス笑む    沼田美山
あらたまの岩のくぼみの葉を払ふ  大西 朋
門松や山の向かうは夕日の国    山口優夢
初日さす愛児の鼻をつまみけり   本多 燐
幾つもの餅重なりて汝が雑煮    江渡華子
雑煮のみ食うて立ち去る息子かな 津久井健之
歌いだすまえの冷たいお正月    田島健一
初春の雀が頬を見せにくる     川嶋一美
御降やみるまに山を降りかくし   糸屋和恵
初旅や首無し仏に日零(ふ)るも   九堂夜想
少女らに渋谷が全て福袋      神野紗希
コンビニのサンドウィッチを選る二日 マイマイ
初声の後いつせいに飛びにけり   岡田一実
初詣迷へる羊の群れどころ     雪井苑生
初日薄氷を割る          矢野錆助
年が逝き年が来我らみな静寂    筑紫磐井
元日の夜のタクシーを降りにけり  大穂照久
初刷りに戦果言祝ぐ世もありし   有川澄宏
ちよと小節きかせすぎなり歌かるた 小沢麻結

三日かな早稲田松竹満員に       西丘伊吹
白鷺の電線にゐる初大師      石田遊起
雪のごと鳩の羽散る鷹日和     満田春日
けの汁や祖母の唄っている銀河  佐々木貴子
初恋の火の残りある歌留多取      菊子

繭玉に夜のマネキン人形が     鴇田智哉
DJの声にエコーや去年今年    岡田由季
初富士を東戸塚に見てかへる    上田信治
告白のましろき息を見てゐたり  三島ゆかり
戦争の映画観ている三日かな  大和田アルミ
三面鏡きれいに閉じて除夜の鐘   木田智美
未年迎へり夫の太き眉       篠崎央子
………………………………………………………


自由律俳句を読む 74
秋山秋紅蓼〔2〕 ……馬場古戸暢 ≫読む

連載 八田木枯の一句
何もなきことなどはなし初景色  
……西村麒麟 ≫読む

〔今週号の表紙〕緩衝材……西原天気 ≫読む



後記+執筆者プロフィール……上田信治 under construction


 
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