2015-11-01

2015角川俳句賞落選展 22 堀下 翔「鯉の息」テキスト

22. 堀下 翔 「鯉の息」

肉声の日々なり麦が笛になる
濠めぐる大きな水よ夏薊
噴水の池のをはりは流れ出す
夏が始まる羊羹のつまやうじ
エアコンをとりつけて目を動かして
空よりも遠くはつなつ月欠くる
また中へ戻るはちすのうへの蠅
視力たのしく走りたり麦の中
林が疎まつすぐ行けば水芭蕉
柿の花石白く水湧きにけり
葉をきはめたる尺蠖のをどりかな
川とほす橋の薄さやあやめぐさ
ひまはりを折りて林を戻りたる
峰雲のつゞきの空ぢやないかなあ
二階から楡にさはつて秋はじめ
祭とも違ふ藤袴のまはり
近づけば橋鳴りゐたり牽牛花
道すがら蔦垂れてゐて大学へ
散髪に秋蝉の鳴きはじめけり
きちかうや黒いパジャマで出歩けば
日時計の石痩せにけり秋燕
病院の壁にたうもろこし映る
別巻を欠き観月に出でにけり
胡桃割るとき実の中をとほる音
深秋やさうかと思ふ竹林
空腹を木の葉の降りしきる日かな
冬麗や平らな靴に足ほてる
裸木の分厚くめくれたるところ
やはらかく雪に凭れし皺残る
侘助や本棚見えて教授棟
裸木へ駆けゆく髪の長さかな
壁を流れて薄々と氷りける
一朝の氷に泉湧くことを
いくたびか氷りてしはしはとなりぬ
二ン月の谷や小さく鳥も見え
山椿しやがめる人に風の濃し
耳元へ蟻の来てをる涅槃かな
蟻穴を出てすぐ横にちがふ穴
切株の根にたんぽゝの短き首
こひいつもその日のことの燕かな
連翹の葉に連翹の花遠し
散らばつてゆく春雲に空が出る
強き蜂さやゑんどうにまはりこむ
独活育ち雨育ちわが歩ミかな
春を唄へば浅草の筈である
パンジーの黄やうらがはにその黄透く
めくるめく史実を春の暑さとも
をさなくて春暮れゆくに遅れをる
鯉の息ソメヰヨシノの散りつゞけ
紙は日に焼けその春の惜しまるゝ




■堀下翔 ほりした・かける
1995年北海道生まれ。「里」「群青」同人。筑波大学に在学中。

1 コメント:

匿名 さんのコメント...

50句全部に目を通したが、ウーン!?・・本来の“堀下俳句”は一句も見当たらない・・気抜け、手抜き!?
何故この程度のものを応募作としたのか、むしろ関心はそちらの方へ(苦笑)・・本人は分かっている筈です・・
持論ですが、俳句は“火花”・・火花は“固い石”からのみ生まれる・・
人で言えば「古来からの日本文化をしっかり吸収」し、「内にも自己の文化をしっかり築きあげた」強靭な精神から・・つまり「不惑」の年令を迎えた頃から・・ほんまの“火花”が散り始める・・
才能は出し惜しみをする事・・“軽い石”(若年)の間は作らない・・擦り減るではないか・・この意味、お分かりでしょうか?(微笑)
俳句は「人に非ず」・・芭蕉も子規もアウトサイダーだった・・この境遇を肥やしとした・・そしてひたすら、独り“奥の細道”を目指した・・
“いい子”にはならない・・不惑まではボチボチ・コツコツ・チマチマ(笑)、ガマンと蓄積!・・“堀下俳句”の大成はもっと先でいいのです・・ご精進を・・(微笑)
片岡 義順