2018-06-17

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 第55回 ニッキー・ホプキンス「Waiting For The Band」

中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
第55回 ニッキー・ホプキンス「Waiting For The Band」



天気●前回のローリング・ストーンズつながりで、ピアニストのニッキー・ホプキンス。この人、60年代後半から70年代に、イギリスのロックアルバムの録音にピアノで参加していて、ストーンズとの関係も深いのですが、ソロアルバムでは歌も聞ける。



天気●軽快でしょ? スライド・ギターはジョージ・ハリソンだそうです。

憲武●いやーこれ、いいっす。昔、レコード買うと、「ロック名盤100選」てな感じの販促用フライヤーを入れてくれたりして、それとか、雑誌などでニッキー・ホプキンスのこのイラストのジャケットよく見てたんですけど、なぜか食指はうごかなかったんです。

天気●この曲が入っている「The Tin Man Was a Dreamer」(1973年)はジャケットもタイトルも中身の音もかわいらしい。一時ずいぶんと聴きました。

憲武●邦題は「夢見る人」。味気ないタイトルとなっています。

天気●ま、ダメ邦題じは置いておいて…。

憲武●今聞いても、ちーとも古臭さがない。

天気●この人のピアノは、ブギでもスローなバラード曲でも、きほんキュートな音。ストーンズでは、「She's a Rainbow」のピアノとか、キュートさが溢れています。



憲武●たしかジョン・ポール・ジョーンズも何かのアレンジで参加してる筈です。このピアノの出だしね、井上陽水の「水無月の夜」って曲の「♪蛍狩りから〜」って歌い出しを思い出しちゃうんですよ。こんなこと言ってると、「キミ、小林亜星?」とか言われそうですけど。

天気●1994年に50歳で亡くなってる。ずいぶん早いです。若い頃からクローン病で苦しんでいて、それでツアーが無理、スタジオでの仕事が多かったそうです。フロントに立つロックスターではなく、裏で支えていた腕のいいミュージシャンの一人ということなんですが、こうした人たちも含め、ロックミュージックは素晴らしい。いや、ほんと素晴らしかった。


(最終回まで、あと946夜)
(次回は中嶋憲武の推薦曲)

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