2007-08-05

第1回 週刊俳句賞 八田木枯 選と選評

八田木枯  選と選評


 ※作者名は選評をいただいたのち編集部で付記いたしました(読者の便宜を考慮)。


06 さびしいかたち(越智友亮) 3点

若い人の作品であろう。十句読んだだけではまだ輪郭が浮かんでこないが、言葉を探し求めている態度は歴々と感じられる。

形をととのえることは大事だが、新境地をめざすほうが先決だ。スマートな作の多い現在の俳句情況にまどわされないで、冒険してほしい。

23 白紙(モル) 2点

11 疎遠(澤田和弥) 1点


〔編集部〕
木枯さんのファクスには、句にチェックが入っていました。それを以下に抜きます。

06 さびしいかたち より

初夏の水の味することばかな
古墳から森のにおいやコカコーラ
修司忌の田んぼの上の空が青い
蜘蛛の囲や太陽はさびしいかたち

23 白紙 より

トマト切る指いきいきと数学者
あめんぼの背に夕闇がふれてゐる
無人島宛てに暑中見舞出す
捩花がもう限界と言つてゐる

11 疎遠 より

夕立や駅は戦後のごとく混み
風死してハチ公はまだ待つてゐる
我が脳に水母散乱してをりぬ
正座できぬ人もまじりて宵祭