2007-08-05

第1回 週刊俳句賞 候補40作品(作者名入り)

第1回 週刊俳句賞 候補40作品





01 歩き出す    久保山敦子


メーデーの米屋は米を量りをり

プードルとパセリライスといもうとと

老人の大きなノート麦の秋

目高とるいきなり網を突つこんで

ことよせて逢はむとしたる忍冬

ひるがほを引けばあらくさ倒れけり

喪の家を問はれてゐたり蚊食鳥

団子虫ふるひを通り歩き出す

蝉声をききゐるごとし蝉の穴

帰りには片蔭できてゐたりけり




02 白紙の願書    浜尾きら


柔らかく薄き靴底聖五月

次の間に昼寝子の居て家静か

夏の夕生家の苦き歯みがき粉

皆揃ひ父が花火を買つて来し

白シャツに重き携帯電話かな

風鈴や男手のなき祖母のこと

暫くは採血の跡半夏生

夜の秋白紙のままに願書捨つ

ひと言に団扇一瞬止まりけり

きやうだいのどちらかが泣く夏座敷




03 成層圏    榊 倫代


窓開けて花殻を摘む巴里祭

たちあふひ成層圏を吹く風よ

一歩ごと如露より水のこぼれけり

未だ土の濡れてをるなり夏の鹿

斎宮の袂を抜けて朝螢

裸身いま内より光出しさうな

ゆらゆらと祝女戻りくる日の盛り

頬杖や夕焼けの髪の乾くまで

金星のやうに梅酒の梅沈む

覚めてもなほ胸の泉の鳴りやまず




04 枇杷    谷 雄介


枇杷の木は逃げるかたちをして佇てり

このあたり枇杷農家ばかりなる日暮

赤く堅くけはしき土や枇杷育つ

枝の先なる重さうな枇杷に風

佳き時計はづし枇杷の実剥きはじむ

枇杷の皮わがくるぶしにくつつきぬ

美女切断マジック枇杷を吸ひつつ観る

枇杷の汁吸うて波打つ雑誌かな

Back in the U.S.S.R.枇杷に古き傷

枇杷の実は闇にうたへり戦後なる




05 青い椅子    藤 幹子


キリトリ線通りに虹を切らむかな

合歓の木や真空管のごと真昼

助手席の茄子ぎゆうと鳴き八王子

昼寝覚東へ垂れしふぐりかな

軸突き出して桜ん坊悪い口

早乙女のずぶと入りたるゴム長靴

青田風少女の舌は練り切り製

浴室のカミソリの刃や油蝉

盆踊り鉄棒回る子もをりて

青い椅子老いは泉のごとくなり




06 さびしいかたち    越智友亮


初夏の水の味することばかな

海沿いに山連なりぬ雲の峰

古墳から森のにおいやコカコーラ

眠たくて百合のかたえに箱になる

六月がトイレットペーパーの芯

紫陽花や父が相変わらず無口

修司忌の田んぼの上の空が青い

蜘蛛の囲や太陽はさびしいかたち

蝉しぐれ窒素がこもるガラス瓶

晩夏光箸をただしく使いけり




07 着衣    岡田由季


次の風きて子燕のあたまかず

常設展順路たつぷり緑さす

新緑が着衣の端に染みてくる

主婦として裸足ですごす午前中

白南風の午後がはじまる畜産科

半身乗り出し夜濯ぎのもの干せり

裏路地に半袖のシェフあらはるる

如雨露から捩れた水の出てきたり

見てをらぬときに噴水高くなり

敷物のやうな犬ゐる海の家




08 夏痩    佐藤文香


夏の蝶自画像の目はひらいてゐる

海へゆくことも約定夏痩せて

箱庭に朝日の差してゐるところ

露台てふうちのそとがはにて侍り

停留所まで豆腐屋の打水は

掬はるる前夜の金魚なり黒し

奪ふもの多く残せる裸かな

新宿が場末であつた頃の薔薇

夕立や工場の裏を見てをりぬ

音楽のゆきわたりたる午睡かな




09 負け癖    小林鮎美


はつなつのキャッチャーフライ高すぎて

閑古鳥グラタン皿の白さかな

笑い方おかしい人のなすび漬

夏期講習東京湾の雲低く

手前味噌並べて胡瓜ひと齧り

負け癖や糸瓜やたらとよく育つ

夕立の手とか足とか持て余す

血迷えず遠き烏賊火を見ておりぬ

ストローを噛んで豪雨の原爆忌

昼寝覚め左右で違う乳房かな




10
とろりとあかき    坂石佳音


聖五月しぼれば水の出る地球

おおばこのちよつと踏まれに生ひ出けり

口ごたへして赤すぎる苺かな

黒南風や天地逆さの道路地図

掌をかへせば裏へかたつむり

眉を足すだけの化粧や冷奴

花茣蓙やまろび寝の爪摘めば散る

五月闇緋色の絹の糸電話

星涼し鎖骨に四苦を眠らせて

らんちうのとろりとあかき残暑かな




11 疎遠    澤田和弥


焼跡より黒き跣足の見えてをり

夕立や駅は戦後のごとく混み

風死してハチ公はまだ待つてゐる

荒野にテーブルここはまだ水無月

我が脳に水母散乱してをりぬ

夕立果て裁判所より被告人

夕焼にいきなり朱き背後かな

雲の合間より夕焼が瞳ほど

正座できぬ人もまじりて宵祭

らつきようをがりりがりりと兄疎遠




12
一戸建    星 力馬


寝室の朝の結界ほととぎす

守宮鳴くやウォークインクローゼット

リヴィングのブラウン管テレヴィ旱

音たてて音けすゆだち子供部屋

百合の壺客の去りゐし応接間

桜桃忌二階廊下にドア五つ

開きかけの浴室の窓半夏雨

油撥ぬシステムキッチン大西日

梔子の花よ玄関施錠せり

真つ白きトイレの戸棚なか晩夏




13 故郷行    中村光声


夏暁けの故郷行きの始発来る

単線に竹の踏み切り雲の峰

万緑の向こう穂高の嶺光る

炎天や少年首をキリンとす

草むしる辺りに重さ消えるまで

ひとつかみほどの記憶のさくらんぼ

緑陰に絵筆握る子一途なり

神木を垂直に這う毛虫かな

生きたしと思う向日葵咲きおれば

城跡の風万緑を揺らしおり




14
薄荷菓子    金子 敦


白雲に十指の触るる海開き

サーファーの頭上を越ゆる夏燕

カレーの具おほかた溶けて海の家

昼顔にあをぞら淡く透けてをり

彫刻のごとくゼリーを削りけり

ストローを気泡ののぼる雲の峰

オート三輪走りし頃の夕焼かな

足の指ひろげて洗ふ日焼の子

夕涼の舌に溶けゆく薄荷菓子

短夜や枕に沁みし波の音




15 ベタ    興梠 隆


傘さして傘買ひに行く傘雨の忌

冷蔵庫の扉外れてしまひけり

グラシン紙函に抗ふ桜桃忌

優曇華や頭の重き日の味の素

業平忌セルフタイマー使ひけり

緑陰のベタ白ヌキの訃報かな

本読めば目の隅に鼻河童の忌

籐椅子の夫人は靴を脱がざりき

谷崎忌ゼリーの賞味期限過ぐ

炎天の猫のゲルニカ走りかな




16
恋の波紋    平川みどり


花いばら咲いて禁猟区域かな

地の底の呻きや巨大蓮ひらく

大西日ふるひ落としてバス発てり

薔薇抱いて気おくれしたる心地かな

カーブ切る日焼けの腕や海光る

香水の一滴恋の波紋かな

木魂して霊巌洞のしたたれり

サングラス心装ひたき日かな

埋めつくす時間の隙や姫女苑

水匂ふ卑弥呼の国の青田かな



17 落し物    山下つばさ


リア・ディゾンみたいな夏の月拾ふ

両肩にマスクメロンを乗せダンサー

宮崎二健のつむじに夏の月

ピカチュウの立ち尽くしてをり夕立

十匹の蜥蜴かくまふ耳の中

竜宮城のすみっこに夏みかん

夏の月割り箸上手に割れたとき

水割りを浴びる空蝉を拾ふ

月涼し笑顔の岡本太郎ゐて

嫌ひな人におぶさってをり蛍




18
溺愛    中村安伸


(あららぎ)を空へ沈めてゆく昼寝

油絵を深きに飾り夏館

溺愛や鋏に映る扇風機

パレードを終へし女体へ青時雨

切り口を運河に向けて西瓜売る

夏空や油膜のごとく怠けゐて

紫陽花の暇さうに咲く昼餉かな

梅雨寒や姿勢正しき夜のシャツ

単調な葉脈のある夏の旅

一列のいつか二列に夏木立




19 なんだかんだ    米男。


雨止んでまた油蝉鳴き狂ふ

雨ですねほんま雨やなかたつぶり

いつのまにひとりふへてる水遊び

あなたには似合はぬ花ね月見草

母の声空耳のごと夏茗荷

鵜飼舟こんなに青くて夜だから

水琴のやがて奏でる夜涼かな

はよせんかもうちよつとだけ夏休み

熟トマトなんだかんだと捻てゐる

蜜豆のドレミファソラシドみんなすき




20
更衣室    浜いぶき


息ひそめとほりすぎたり花氷

小さきもの買ふためにある夜店かな

沿ふ川に夜店のあかり流れけり

ロックフェスの大光源へ夕立かな

香水にひたされてをり更衣室

手花火の青き病ひを晒しけり

三味線の音のこぼれきて薄暑かな

日本画にほたるぶくろの眠たさう

遠泳やあたまのなかで歌ふうた

夏帽子ゆきすぎてまたしづかなり




21 悪魔辞典    大井正志


西園寺公一さんのサングラス

白地着て愛一郎といふ男

鴎外の髭が不揃沙羅の花

人語なき山海塾の裸かな

霍乱やタマラ・プレスの声尖る

風鈴やまた血を流す豊登

イリア・クリヤキンの見たる夏薊

ワグナーの大音響や毛虫焼く

夏木立ヤコブの梯子実生へと

夏の果ピアスの悪魔辞典かな




22
碌々    すずきみのる


百合化して蝶となるただ真昼中

万緑や岩稜薙ぎて北壁に

はんざきがゐて水底といふがあり

蜘蛛の囲を破り赤きもの掴み出す

有刺鉄線空蝉をぶら下げて

刈草のなか寸断の蛇の衣

黄の色を宙に点じて鬼やんま

見せずとも褒め称えつつステテコを

醜悪は夏満月に曝すべし

桑の実の甘くてボール見つからず




23
白紙    モル


トマト切る指いきいきと数学者

あめんぼの背に夕闇がふれてゐる

洗濯機まわる夕立の迫り来る

影踏の前大群の夏の蝶

無人島宛てに暑中見舞出す

捩花がもう限界と言つてゐる

風薫る白紙にうもれゆく二階

空瓶に海をつくつて花火落つ

太宰の忌世界が揺れるまで叫ぶ

歌止みて白壁解体して夏野




24 焼け残る    村上瑪論


ゆふぐれは発破と思ふ瀑布かな

鞄よりかばん出てくる雲の峰

鉱石の綿にくるまる涼しさよ

かはほりや音の中なるフィラメント

拭きかけの眼鏡くもれる未草

弛みたる水平線を金魚玉

あをぞらの真下に瓜の冷えてをり

受付に先にきてゐる半ズボン

病葉に水際透いてをりにけり

蠍座の尾の焼け残る晩夏かな




25
銀の匙    中嶋憲武


若葉風犬走りをる外野席

首都朱き丸印なり夏燕

麦の秋普通電車に乗りにけり

老人の恋のしぐさの踊りかな

箱庭に町長らしき人立ちて

画数の多き漢字や蠅交む

引出しを引きて西日の銀の匙

鋭角のメロン運ばれ宴佳境

炎昼のひかりへ消ゆる叫びかな

眼鏡屋のめがねきらきら夜の秋




26
もろきう    三島ゆかり


黒南風を遊ぶ去年の糸瓜かな

背の高き姉と電柱さみだるる

ホルンから彼が液抜く夕薄暑

烏賊くさき感熱紙吐く訃報かな

二階から兄降りてくる羽蟻の夜

宵宮の牡に対せば牝となり

森伊蔵岡田以蔵と明急ぐ

もろきうのやうにつかれてゐるひとと

大台に乗つてしまへば夏の雲

虫干の虫の行き場を風渡る




27
射ぬく音    飯田哲弘


的射ぬく音のひとつや夏の朝

豆腐屋の二階より来る素足かな

はつなつの燈台までの半里かな

石油積む船のゆき交ふ驟雨かな

夏闇にぬつと小舟の漕ぎゆけり

はまなすや朽ちて吹かるる舟の骨

夏の灯や医書はくろぐろしてをりぬ

黒潮の沖を流るる町の枇杷

製氷の音を飛びかふ螢かな

ピアノソナタ降りくる夜の水母の死




28
オイルタンクの空    近 恵


白薔薇「はじめまして」と嘘を言ひ

フラスコのゆがみし影の夏めけり

夏満月高架下より覗き見し

みるみるとふくらむ枇杷や恋ひとつ

一房の一気に黒くなるバナナ

炎昼やオイルタンクの空ゆらり

何もかも知らぬふりして糸蜻蛉

つま先の乱す一途や蟻の列

空蝉の背なより愛を取り出しぬ

夜濯や正しき事はなんでせう




29
長い街    振り子


星合ひや木のてつぺんはまだ熱く

すべりひゆ母の気流の塩味の

洗車まだ終へぬ半裸のひかる男

純愛やきゆうりは沈み茄子は浮き

雲が湧く兆しのやうなラクダの眼

ま昼間の滝の音して蔵書印

讃美歌を唄つてくれし半ズボン

白夜かも知れぬバンパー落ちてゐる

土用波何してゐても爪がのび

雷走る踏切のない長い街




30
おしゃれ    岡本飛び地


手の平を蝕むマウス熱帯夜

日盛りを包む表紙のやわらかさ

おおらかな人がもたれる日陰かな

蝉は知る帰途もノートに書いた字も

懐かしい漫画入道雲に似て

おしゃれしてブッポウソウと鳴く娘

ハンカチをたたむ姿を見て蜥蜴

冷やを注ぐ娘の名札さえ欲しい

慟哭の果て貪るは百合の花

五月雨と悔いの間で生きている




31
水すこし    兎六


夏蝶の消えてゆきたる宿の門

水すこし残して落ちる雨蛙

ひよどりの影留まれば鳴き止まず

羽伏せていろいろな蛾の止まりをり

蛍火の消えて久しき枝の先

野良猫のあとをつけたる五月闇

水中は沢蟹の摘む魚の欠

死に場所の隅に定まる油虫

飼猫が華の水飲む大暑かな

萍の尽きれば月夜なりにけり




32
ひるがお    宮嶋梓帆


ローソンの青の青さよ夏の月

合歓の花入浴剤は泡吹いて

そらまめの皮剥き終えて大喧嘩

夏至の日のジーンズの裾折り返し

ひるがおのなかなか閉じぬ忌日かな

トマトに塩たっぷり振って追悼す

白服の上手に透けて准教授

図書室の窓の大きく夏の風邪

棒立ちのまま仕舞われて扇風機

匙に顔まるく映れる帰省かな




33
翡翠    上野葉月


はまち来る青く輝く玉ふたつ

恋人とちょっとおしゃれな老眼鏡

夏痩せて電池にうるさい男かな

食いちぎること許されおり茄子漬

風止まりパズルのような海の家

翡翠の名古屋の方を向いており

滝壷に自転車のある真昼かな

艶やかな土用ときおりは哀しい

Tシャツを脱いで週刊俳句見る

ふたりきりで法螺貝の家に住む




34
日焼けのなすび    お気楽堂


ががんぼのようないとこの婚約者

ご近所のみなさま虹が出ましたよ

鳩サブレー買うのあじさい見る前に

洗い髪とは言えないね短くて

夏痩せのせいじゃないでしょその皺は

一時間早い蚊遣の尽きるのが

甘いものなければかぶりつくトマト

子蟷螂逃がそうとして逃げられる

西瓜ぶらさげて愛馬を訪ねけり

海の日のコンピューターはお留守番




35
シャツ汚す    小池康生


ひきがえる中身は全て風であり

螢狩鉄路のうへを歩みけり

黒南風や訊きなほしたる島の数

長いこと咲いてゐるなり時計草

夕涼み家族がそばにゐる街の

四万六千日東京タワーにも寄りて

点すまでぶつきら棒な花火なり

油照青き果汁にシャツ汚す

老鶯や年中泥濘る道を抜け

夏の果川の漁師の網細か




36
底の底から    青島玄武


卯波寄る音聞く月の膝枕

葵咲く触れられぬほど熱さうに

しづかさや溶け果つるまで蛞蝓

夏至の日の筋肉痛となりにけり

水底の底の底から浮いてこい

しんしんと冷素麺の水平線

夏大根背負ひて夜の秋葉原

荒梅雨のヤクルト配る女かな

梅雨深し電球換ふる椅子の上

梅雨の夜の扉の奥の秘書課かな




37 ロマンス    前野子壱


鉛筆の直す図面や青嵐

麦秋の横を書くこと特になく

補充用四色インク蛇の衣

網障子ボルトナットの採寸図

冷奴三角関数思ひ出す

短夜の広きメモリーカードかな

霧出でて消しゴム指の森の下

ンの字はロマンス文字総会日

梅雨寒や資料インクの滑りたる

半夏生パワーポイント御仕舞ひに




38 吊具    上田信治


校庭と校舎五月の雨降りをり

糸瓜の花咲いて牛乳瓶の蓋

木耳の生えて倒れてゐる木かな

煎茶のむ蝉の一つの鳴きをはる

薄暑なる卓布のうへのフォークかな

カーテンの吊具小さき夏夕べ

どろどろになる夕焼の下のはう

手をかけて上を向かせる扇風機

夜短しその疵あとの蟲のやう

濡れ傘を巻かず持ちをり夏の暮




39
素足    宮本佳世乃


片恋のスプーン泰山木の花

貸しボート指の長さを比べ合ふ

沙羅の花ジャズ喫茶よりベース出づ

薄闇を集めて夾竹桃白し

はんたいのことばを言ひて素足かな

お風呂用洗剤の泡さみだるる

朝顔市Tシャツのよく乾きをり

白南風やヱビス・ザ・ホップ分けあへり

はだいろの西瓜の種を吐きにけり

ともだちの流れてこないプールかな




40
ぶん投げて    島田牙城


目と鼻の間に飼うてゐる蚊かな

腰扇ほどの赤子と泳ぎをり

靴箆に落ちてをります百合花粉

靴下を踏みつけてゐる裸足かな

長虫の墓の真下に入りきる

雷雲をたくしあげたるだけのこと

ぶん投げて去りぬ夕立の神様は

禿頭を広前と言ひ一重帯

なめくじの恋のやうにも寝苦しき

しばらくを焼酎四リットルの瓶