2008-05-11

10句作品テキスト 杉山久子 芯

   芯     杉山久子

夏に入る肩甲骨をきしませて
留守番の犬の見てゐる卯浪かな
おりてくるほうたるのぼりゆく蛍
蔓薔薇の影に鼾をかきて猫
語り部と呼ばれ青芒のごとし
人悼む白シャツにかすかなフリル
万緑や鳥に生まれて鳥を追ひ
泉見に行つたきりなるおばあさん
野茨や夜間飛行の翼ぬれ
地球一周してたどりつくキャベツの芯

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